ウクライナ・オデーサで港湾再開 G7は支援継続を確認

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ウクライナ南西部の、黒海に面する主要港湾都市オデーサで12日、港湾業務が再開した。10日にはロシアが、イラン製ドローンを使ってオデーサのエネルギー施設を攻撃し、人口150万人のオデーサは非常用電源を使う施設を除いて、市内全域が停電していた。12日には主要7カ国(G7)首脳会議がオンラインで開かれ、ウクライナ支援の継続を確認した。
オデーサは、トルコと国連が仲介する穀物輸出事業で使われる3つの港のひとつ。ロシアによる砲撃を受けて港湾作業は4日に一時中断したものの、ウクライナ政府は穀物輸出は停止しないと述べた。ロシアの海上封鎖のためウクライナに滞留していた大量の穀物を、この取り組みで国外に安全に運ぶことで、世界的な食糧価格急騰が緩和されつつある。
ウクライナ軍によると、ロシアはオデーサ州と隣のミコライウ州に計15機のイラン製ドローンを飛来させた。ウクライナはそのうち10機を撃墜したという。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は10日夜、定例の演説動画で、「オデーサ州の状況はとても厳しい」、「残念ながら急所を攻撃されたため、その分だけ電力復旧に時間がかかる。数時間ではなく、数日かかる」と述べていた。
停電中に電力や暖房を住民に提供するため、各地に用意された「不屈の拠点」施設を、多数の住民が利用している。ソーシャルメディアに投稿された多くの写真では、そうした場所で住民がスマートフォン充電などのために集まっている様子が見える。
ウクライナのエネルギー・インフラに対するロシアの攻撃は10月半ばから激化。連日の気温が氷点下に下がる中、全土で数百万人が電気や暖房のない状態に置かれている。
ウクライナのドミトロ・クレバ外相は11日、ドイツのテレビに対し、全国規模の完全な停電も今やあり得る状態だと話した。
ウクライナ支援継続を確認=G7
ロシアによる電力系攻撃を受けて、ウクライナは西側諸国に、防空兵器の追加供与を求めている。
ジョー・バイデン米大統領は11日、ゼレンスキー大統領と電話会談し、ウクライナの防空強化はアメリカ政府にとって優先課題だと話した。
12日には主要7カ国(G7)首脳会議がオンラインで開かれ、ゼレンスキー大統領もキーウから参加。各国首脳は、ロシアとイランに対する制裁強化を協議した。
G7は会談後に声明を発表し、「続くロシアの侵略戦争を前に、ウクライナと連帯し揺るぎない支援を、必要な限り続けることをあらためて確認する」と強調。国際的な仕組みを使ったウクライナ再建支援を約束するとともに、ロシア産原油の段階的な使用停止や対ロ制裁の継続をあらためて表明した。
さらに、「ウクライナへただちに防空システムや防空能力を提供することに注力し、軍備・防衛装備を喫緊に求めるウクライナの要求に応えるべく、引き続き取り組みを調整していく」と述べた。
占領下メリトポリをウクライナが攻撃と
ウクライナ南東部でロシアが占領支配するメリトポリでは、ロシアが設置した現地当局によると、週末にかけてウクライナによる攻撃で2人が死亡したという。
東部マリウポリ、南部クリミア、西部ヘルソンとドニプロ川を結ぶ位置にあるメリトポリは今年3月初めからロシアの支配下にあり、ロシアにとってウクライナ南東部の重要な補給拠点となっている。
