タリバン、「公共の場で顔を覆う」女性の服装規定を発表 違反者に「段階的罰則」も

セカンダー・カーマニ、BBCニュース(カブール)

Women in a market in Kabul
画像説明, タリバンは多くの女性が服装規定に従っているとしている。画像はカブール市内の市場の様子

アフガニスタンで昨夏に復権した武装勢力タリバンは7日、女性は顔をベールで覆わなければならないとする新たな服装規定を発表した。しかし、女性服を売る露店がずらりと並んでいることで知られる首都カブールのリセ・マリアム市場には、同日午後の時点でもこのニュースは広まっていなかった。

店をぶらぶらと見て回る人の中には、タリバンが1990年代に初めて実権を握った際に導入した、全身を覆う青色のブルカを着用している人もいた。一方で、頭髪はスカーフで覆い、顔はそのまま出している人たちもいた。

「サウジアラビアに巡礼に行く時でさえ、顔を隠す必要はない」と指摘する人もいる。

「人間は生まれながらにして自由だ。女性の服装についてとやかく言う権利は誰にもない」と、サングラスを頭に乗せたおしゃれな装いの大学生、ファティマさんは話した。

非常に保守的なアフガニスタンでは、多くの女性が体や顔を完全に覆うブルカを着用している。ただ、大都市ではシンプルなヘッドスカーフのみを被る女性もよく見かける。

昨年8月に実権を握って以降、タリバンは女性の服装に関する新たな法律を発表せずにいた。7日になるまでは。

従わない者には「段階的罰則」も

勧善懲悪省は記者会見で、女性は全員公の場で顔を隠さなければならないと発表。従わない場合は段階的な罰則を科すとした。勧善懲悪省はタリバンが1990年代に置いていたもので、復権後の昨年9月に再設置された。

段階的罰則ではまず、タリバンの役人が女性の男性の保護者(通常は父親や兄弟、夫)の自宅を訪問する。それでも女性の服装が容認できるものではないと判断されると、男性の親族は役人に呼び出される。3日間収監されたり、裁判にかけられる可能性もある。

勧善懲悪省のアキフ・ムハジール報道官は、女性の服装に関する命令はイスラム教の聖典コーランと預言者ムハンマドの生涯に基づくものだとBBCに語った。

ほかのムスリム(イスラム教徒)はこうした解釈に異議を唱えている。しかし、ムハジール氏は顔を覆うことはイスラム教における「義務」だと説明した。同氏は服装に関するタリバンの解釈に従わないアフガニスタンの女性はわずか1%だと主張。「これは単に『イスラム首長国』の命令ではなく、アッラー(神)の命でもある」と付け加えた。

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女性の日常生活に対する強硬措置

世界中の大半のムスリムは、イスラム教が顔を覆うことを義務付けているとは考えていない。タリバンが国を掌握した当初は、アフガニスタン統治について以前より柔軟な姿勢を取っているように見えた。

ところがここ数週間、タリバンはより強硬措置を取りつつある。そうした措置の多くは、女性の日常生活を支配する内容になっている。例えば、女性が公共の公園を訪れる日と男性が利用する日を別々に設定したり、男性の保護者なしの長距離移動を禁止するとしている。

ムスリム女性が着用する様々なベール

国内のほとんどの場所では、10代の少女が学校へ戻ることは認められていない。医療や教育分野などで働く女性たちも、職場に復帰できずにいる。

アフガニスタンは現在、厳しい経済危機のさなかにあるが、西側の外交官たちは同国への開発資金の提供を再開する条件として、タリバンによる女性の扱いの改善を挙げている。

ある聖職者は、新たな女性の服装規定が発表された際、タリバンが西側諸国からの圧力を理由に自分たちの信念を妥協することはあり得ないと話した。

アフガニスタン人女性の権利のために同国で何年にもわたり、不安定ながらも進展を遂げようと奮闘してきた活動家にとっては、この20年間の成果が後退してしまったように感じる出来事だという。

アフガニスタンで最も著名な活動家の1人のマブーバ・セラジさんは、カブール市内の自宅でBBCの取材に応じた。

「この国にはただでさえ、大量の問題がある。一方、女性は国にとって問題ではない!」と、セラジさんは怒りをあらわにした。

「学校を再開しないといけないし、各家庭に仕事を与えないといけない。この国のいたるところで飢饉(ききん)が起きているし、自爆攻撃もある」

「それなのに(タリバンは)こうした問題には何もしないで、常に女性のことばかり問題視する」と、セラジさんは落胆した様子で語った。

(追加取材:マリク・ムダシール、ムハンマド・ショアイブ、マフフーズ・ズバイド)

(英語記事 Women’s faces become latest Taliban restriction)