キーウ近郊で403人の遺体、「ほぼ毎日」集団埋葬地を発見　バイデン氏は「ジェノサイド」と非難

ウクライナの首都キーウ近郊のブチャで12日までに、ロシア軍の占領中に殺害されたとみられる403人の遺体が見つかったと、地元当局が明らかにした。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、新たな集団埋葬地が「ほぼ毎日」見つかっていると述べた。こうした中、アメリカのジョー・バイデン大統領は、ロシアが「ジェノサイド（集団虐殺）」を犯していると強く非難した。

ブチャのアナトリー・フェドルク町長は、ほかにも複数の住民が行方不明になっており、犠牲者の数は今後も増えるとしている。

複数の遺体が路上に残されている光景は、世界的な怒りを巻き起こし、クレムリン（ロシア政府）には戦争犯罪疑惑が浮上している。

ロシア側は関与を否定している。ウラジーミル・プーチン大統領は12日、民間人の遺体は捏造（ねつぞう）されたものだと主張した。

「ジェノサイドだ」とバイデン氏

バイデン米大統領は12日、アイオワ州のイベントで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領について、ウクライナ人に対してジェノサイドを行っているとの認識を示した。

バイデン氏が今回のロシアの軍事侵攻について、ジェノサイドという言葉を使ったのは初めて。米政府はこれまで、ロシア軍の行為を戦争犯罪に当たるとして非難してきた。

バイデン氏はイベント終了後、大統領専用機に乗り込む際に、この発言について記者団から確認を求められた。それに対し、「そのとおりだ、ジェノサイドと言った。プーチンがウクライナ人であろうとする考えさえも絶滅させようとしていることが、ますます明らかになっている」と述べた。

さらに、「証拠が集まっている。先週とは状況が違う」とし、ロシア軍がウクライナでおぞましい行為をしていると非難。

「国際的に（ジェノサイドに）該当するのか、判断は法律家に委ねるが、間違いないように思える」と述べた。

侵攻は「正しい判断」とプーチン氏

一方、ロシアのプーチン大統領はこの日、ロシアを訪問したベラルーシのルカシェンコ大統領と会談した。記者会見では、目標を達成するまでウクライナで戦い続けると述べた。

また、ウクライナ国内でロシア語話者がジェノサイドの被害に遭っていると、事実と証明されていない主張を繰り返した。その上で、侵攻は「人々を助ける」ことが目的だとし、必要だと考えたと説明した。

「ほかに選択肢がなかったのは明らかだった。正しい判断だった」

「目標は完全に明確で、崇高なものだ」

東部ドンバスに向かう車列

プーチン氏の現在の目標は、東部ドンバス地域の掌握とみられる。

複数の衛星画像には、戦闘準備のためにドンバスへ向かうロシア軍の長い車列が写っている。

現地で取材するBBCのジョナサン・ビール記者は、今後数週間でさらに致命的な戦闘が起きることが予想されると報告している。

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集団埋葬地、「ほぼ毎日見つかっている」

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はリトアニア議会でビデオ演説し、ウクライナがロシア軍から奪還した地域で「何千何万という犠牲者」や「何百もの残忍な拷問の事例」が見つかっていると述べた。

「新たな集団埋葬地がほぼ毎日見つかっている。排水溝や地下室から遺体が見つかる状況が続いている」

そして、ロシア軍による「戦争犯罪について調査」を続けるとした。

ウクライナ検察はこの日、キーウ市内のビルの地下室で6人が射殺されているのが見つかったと発表した。

ロシアは一貫して戦争犯罪を否定。ウクライナに責任があると主張している。

マリウポリで推定2万人超が死亡

ロイター通信によると、ロシア軍に包囲された南東部の港湾都市マリウポリのヴァディム・ボイチェンコ市長は、同市でこれまでに推定2万1000人が死亡していると述べた。路上で戦闘が始まったため、当局は遺体の数の確認を中断せざるを得なくなったという。

ボイチェンコ氏はまた、路上から複数の遺体がなくなっており、ロシア軍が運び出した可能性を指摘した。

BBCはこの主張を独自に検証できていない。

化学兵器の疑い

マリウポリをめぐっては、ロシア軍が化学物質を使用した疑いが浮上している。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は12日、同国はこれが事実かどうか確認する立場にないと述べた。一方で、ロシア軍がマリウポリで「化学物質を（中略）使用するかもしれない」という「信頼できる情報」があるとした。

「我々はウクライナとその情報を共有しており、実際に何が起きているのかを判断するためにパートナー各国と直接やり取りしている」

化学兵器禁止機関（OPCW）も化学兵器が使用されたとの未確認情報に懸念を抱いているとし、状況を注視していると述べた。

ウクライナのアゾフ大隊は前日の攻撃で、兵士3人が「毒物」によって負傷したと主張している。ただ、マリウポリは依然としてロシア軍に包囲されており、この主張を検証するのは非常に難しい。

ウクライナ、親ロシア派政治家を逮捕

ウクライナの治安当局は、同国の「野党プラットフォーム・生活党」党首で親ロシア派のヴィクトル・メドヴェチュク氏を逮捕したと発表した。メドヴェチュク氏は国家反逆容疑で自宅軟禁となっていたが、侵攻開始後に逃亡したという。

プーチン氏はメドヴェチュク氏と親交が深く、同氏の娘の名付け親でもある。

ゼレンスキー氏はメドヴェチュク氏とウクライナ人捕虜の交換を提案している。

ロシア政府の報道官は、ウクライナ当局が投稿したメドヴェチュク氏の画像について、本物かどうかは言えないとしている。

（英語記事　Live Page／Ukraine round-up: Putin defends 'necessary' invasion ）