オミクロン株、「既存ワクチンで重症化防げるはず」=WHO

Pharmacist with Pfizer jab

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画像説明, 米ファイザー製ワクチンを扱う薬剤師

世界保健機関(WHO)の緊急対応責任者マイク・ライアン博士は7日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン」について、既存の新型ウイルスワクチンで重症化を防げるはずだと述べた。

オミクロン株をめぐっては、米ファイザー製ワクチンを用いた南アフリカでの研究で、接種による防御効果を部分的に回避できることが示された。研究者たちによると、ワクチン接種による抗体がオミクロン株を中和する能力が、従来株と比べて「非常に大きく低下した」という。

しかしWHOのライアン氏は、オミクロン株がワクチンの効果の回避という点で、ほかの変異株よりも優れていることを示すものはないとした。

「我々には、重症化や入院を防ぐという点において、これまでに出現した全ての変異株に対して非常に効果を発揮するワクチンがある。(オミクロン株に対して)そのような効果がないと予想する理由は1つもない」と、ライアン氏はAFP通信に述べた。

そして、初期段階のデータでは、オミクロン株に感染した人が、デルタ株などのほかの変異株に感染した人よりも症状が悪化していないことが示唆されているとした。「むしろ重症度は低い傾向にある」。

南アの研究結果

オミクロン株について南アフリカで行われた新たな研究では、米ファイザー/独ビオンテック製ワクチンを接種した12人の血液を調べた。その結果、ワクチンの効果は、従来株に対する効果と比べて最大40倍低い可能性があることがわかったという。この研究結果はまだピアレビュー(査読)を受けていない。

ただ、オミクロン株がワクチン接種による抗体を回避する能力は「不完全」なものだと、この研究を主導した南アフリカのアフリカ・ヘルス研究所(AHRI)のウイルス学者、アレックス・シガル教授は指摘した。

そして、12人の血液検査に基づいた研究結果は、「オミクロン株について私が予想していたよりもいい結果だった」とした。

シガル氏によると、ワクチン接種と、過去の新型ウイルスへの感染という条件が組み合わさると、オミクロン株を中和できる可能性があるという。つまり、ブースター(追加免疫)接種が大きな効果をもたらすかもしれないということだ。

科学者たちは、過去に感染した人がワクチン接種やブースター接種を受けると中和レベルが高まり、おそらく重症化を防げくことができると考えている。

オミクロン株に対するファイザー製ワクチンの効果については、数日以内にさらなるデータが発表される予定。

一方で、米モデルナ製、米ジョンソン・エンド・ジョンソン製、そのほかのワクチンのオミクロン株への効果を示す重要なデータはない。

最も激しい変異

オミクロン株は、これまでの変異株の中で最も激しい変異がみられる。

南アフリカで初めて検出され、その後イギリスやドイツ、アメリカ、日本などで感染が確認されている。

英首相官邸報道官は、オミクロン株は現在主流となっているデルタ株より感染力が強い可能性があることが、初期段階の証拠で示されているとした。だが、どれほど重症化するのかは明らかになっていない。

アメリカの感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は、オミクロン株は感染力が強いものの感染しても重症化しない可能性があると、初期段階の証拠で示されているとしている。

(英語記事 Vaccines should work against Omicron, WHO says)