ジョンソン英首相、「2035年までに全電力を再生可能エネルギーでまかなう」

Wind turbines

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イギリスのボリス・ジョンソン首相は4日、2035年までにイギリスの電力をすべてクリーンエネルギーでまかなうと発言した。

マンチェスターを訪問中のジョンソン首相は、風力発電などの再生可能エネルギーを推進することで、この目標を達成したいと語った。

イギリスは2035年までに炭素排出量を78%削減するとしており、再生可能エネルギーへの転換はその一環。

しかし環境保護団体からは、政府の計画が遅れていると指摘されている。

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ジョンソン首相は、11月に英グラスゴーで開催予定の国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に先立って今回の発表を行った。

首相は記者団に対し、「2035年までに完全なクリーンエネルギーを手に入れられる」と語った。

「2030年までに内燃エンジン付き自動車についてやろうとしていることを、エネルギー生産では2035年までにやれるだろう」

イギリスはガソリン車とディーゼル車の新車販売を、2030年までに禁止するとしている。

ジョンソン首相はさらに、再生可能エネルギーへ転換することによって、同国の海外へのエネルギー依存を減らせるだろうと述べた。

その上で、「自国のクリーン電力」への依存が高まれば、コスト減にも寄与するだろうと付け加えた。

今年4月にはクリーンエネルギー比が過去最高に

英送電会社ナショナル・グリッドは今年4月、イースター(復活祭)期間で祝日扱いだった5日に、クリーンエネルギーの割合が過去最高を記録したと発表。

快晴かつ風が強かったことから再生可能エネルギーでの発電能力が急増し、低炭素エネルギーの割合が80%に達した。

しかし再生可能エネルギーの消費が高まっている一方、環境保護団体からは、政府の政策は目標達成には遅すぎるという警告も出ている。

シンクタンクのグリーン・アライアンスは9月、温室効果化ガスの実質ゼロ(ネットゼロ)戦略が「問題の大きさに見合うものにならなければ(中略)イギリスはこの重要な10年に行った排出削減の成果をほとんど見せることなく、グラスゴー(COP26)を迎えることになる」と指摘した。

鉄やセメント使用の削減を要求

グリーン・アライアンスは政府に対し、鉄鋼やセメントといった炭素排出率の高い材料の使用を減らすことや、空港の拡張計画をやめ、住宅の断熱を進める戦略を練るよう求めている。

一方で、運輸省が鉄道の電力化計画によって排出削減目標の達成に向かっていることを評価した。

BBCのロジャー・ハラビン環境アナリストは、ジョンソン首相の化石燃料発電の終了宣言は、政府の気候変動委員会の助言を受けたものだと説明。

しかし、財政が逼迫(ひっぱく)する中で2035年という目標を達成するのは困難だろうと指摘した。

最新の分析ではイギリスの再生可能エネルギーの成長率は2010年以降で最も低くなっているという。

(英語記事 PM sets target for 100% clean energy use in UK)