ロシア野党指導者の釈放求めるデモ、「3000人以上拘束」と人権団体

Riot police clash with supporters of Alexey Navalny, Russian opposition leader in Moscow

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画像説明, ロシア・モスクワでは機動隊が警棒を使って抗議者に応戦した

ロシアで23日、帰国直後に拘束された野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の釈放を求める抗議デモがロシア各地で行われ、3000人以上が拘束された。人権団体が明らかにした。

ロシアではこの日、数万人が警察の厳重な警備を無視して集結した。ウラジミール・プーチン大統領に対する抗議集会としては過去数年で最大規模。

モスクワでは機動隊が抗議者を殴り、引きずり出す様子が目撃された。

抗議行動をモニターする人権NGO「OVDインフォ」によると、モスクワだけで1200人以上が拘束された。ロシア政府はコメントを出していない。

ナワリヌイ氏の妻ユリア氏も、一時的に拘束された。

最も著名な反プーチン政権派のナワリヌイ氏は17日の逮捕後、抗議行動を呼びかけた。

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ナワリヌイ氏は昨年8月に神経剤を使われ一時こん睡状態に陥った。治療を受けていたドイツ・ベルリンからモスクワに帰国した際に、ロシア当局に拘束された。

現地の裁判所はナワリヌイ氏が執行猶予中の出頭義務に違反したとして、2月15日までの勾留を命じた。同氏は、口封じのためのでっちあげだと主張している。

ナワリヌイ氏については以前の詐欺罪などに対する3年半の禁固刑が猶予中だが、実刑判決に切り替えるかを判断するため、1月29日に次の審理が開かれることになった。

抗議者「恐れることにうんざり」

ナワリヌイ氏の釈放を求める無許可デモは、ロシア極東地域やシベリアからモスクワ、サンクトペテルブルクまで、約100の市や町で行われた。参加者は10代の学生から高齢者まで多岐にわたった。

ロイター通信によると、モスクワ中心部の集会には少なくとも4万人が参加。しかしロシア内務省は、抗議者は4000人だと発表した。

観測筋によると、首都モスクワでの抗議は過去10年で最大規模だったが、全国的なデモは前例がない規模だった。

モスクワ市内のプーシキン広場では抗議者たちが「ナワリヌイに自由を」、「プーチンよ去れ!」と声をあげた。「ロシアが捕虜収容所になってしまった」ため、デモへの参加を決めたと、BBCに話す女性もいた。

モスクワ在住の抗議者、セルゲイ・ラドチェンコ氏(53)は、「びくびくおびえて暮らすことにうんざりしている。これは自分自身とナワリヌイのためだけでなく、自分の息子のためでもある。この国には未来がないので」とロイター通信に述べた。

ナワリヌイ氏を支持する著名弁護士のリュボフ・ソボル氏は、報道陣の囲み取材を受けている最中の自分を警察が手荒に連行する様子の動画を投稿した。

ソボル氏はロシア国民に抗議行動への参加を促したとして、すでに罰金が科されている。

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ナワリヌイ氏の妻ユリア氏も、抗議集会で一時拘束された。同氏はインスタグラムに画像を投稿し、「画質が悪くて申し訳ありません。警察車両のライトがひどくて」と書いた。

一部の抗議者は、ナワリヌイ氏が勾留されている厳重警備態勢の刑務所周辺を行進し、大勢が逮捕された。

こうした中、独立系ニュースソース「Sota」は、少なくとも3000人がウラジオストクでデモに参加したと伝えた。しかし地元当局は参加者は500人だったとした。

AFP通信の映像には、機動隊が群衆に突入し、一部の抗議者を警棒で殴る様子が映っている。

動画説明, ウラジオストクでデモ参加者を警棒で殴る警察

シベリア・ヤクーツクでは気温が零下50度の中、小規模な抗議活動が行われた。

抗議に先立ち、ロシア当局は厳しい取り締まりを行うと約束していた。今週初めには、ナワリヌイ氏の広報担当キラ・ヤルミシュ氏など、ナワリヌイ氏の側近数名が逮捕された。

ナワリヌイ氏の支持者たちは、来週末にも引き続き抗議行動に出るよう呼びかけた。

携帯電話とインターネットの通信が遮断

23日に携帯電話とインターネットの通信が途絶えたとする報告が複数あったが、抗議行動との関連は分かっていない。

動画共有アプリTikTokには抗議活動を奨励する動画があふれ、ナワリヌイ氏に関するメッセージが拡散された。

この事態を受け、ロシアのメディア監視機関「Roskomnadzor」はTikTok側に「未成年者に違法行為を奨励する」情報の取り下げを要求。応じない場合には多額の罰金を科すとした。教育省は子供たちをデモに参加させないよう、保護者らに求めた。

People attend a rally in support of jailed opposition leader Alexei Navalny in Moscow

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画像説明, ロシアでは23日、厳しい寒さの中、逮捕の恐れがあるにも関わらずナワリヌイ氏の釈放を求める抗議デモが行われた。写真はモスクワでの抗議の様子

ナワリヌイ氏側は支持を獲得するため、抗議に先立ち、プーチン大統領が所有しているとする黒海の高級リゾートに関する動画を公開した。政府側はこの主張を否定している。これまでに6500万人以上が動画を視聴した。

イギリスのドミニク・ラーブ外相は23日、同国は「平和的な抗議者やジャーナリストに対する暴力行使」を非難するとツイート。平和的なデモの最中に拘束された人々を解放するよう、ロシア当局に求めた。

米国務省は、抗議者とジャーナリストに対して「厳しい戦術」がとられたと非難し、「普遍的な権利を行使して拘束された、あるいはアレクセイ・ナワリヌイ氏の無条件な即時釈放を求めて拘束された、全員の解放をロシア当局に求める」とした。

欧州連合(EU)のジョセップ・ボレル・フォンテジェス外務・安全保障政策上級代表は、「広範囲に及ぶ拘束や不相応な武力行使、インターネットや電話回線の切断を深く憂慮する」と声明を発表。EU加盟各国の外相は25日にも、ロシアにおける弾圧について協議すると明らかにした。