ワインスティーン裁判、陪審が評議入り 裁判官が弁護側に警告

Harvey Weinstein arrives in court - 18 February

画像提供, AFP

画像説明, ワインスティーン被告は裁判中、歩行器を使って法廷に姿を見せた

米ハリウッドの大物映画プロデューサーで、強姦罪などに問われているハーヴィー・ワインスティーン被告(67)の刑事裁判が結審し、陪審員は18日、有罪か無罪かを判断する評議に入った。

ワインスティーン被告は、自らの会社の製作アシスタントだったミミ・ヘイリー氏に性的暴行を加え、元女優ジェシカ・マン氏を強姦したなどとして、5件の罪状で起訴されている。

裁判は今年1月にニューヨーク・マンハッタンの裁判所で開始。被告側は性行為は同意の上だったとし、証拠や目撃証言もないとして無罪を主張してきた。ワインスティーン被告が証言台に立つことはなかった。

<関連記事>

陪審員は男性7人、女性5人。5件の罪状それぞれについて有罪か無罪かを決定する。判決は全員一致が条件。

有罪の場合、ワインスティーン被告は終身刑となる可能性もある。

ワインスティーン被告に対しては、80人を超える女性から性的被害の告発がなされ、#MeTooの動きが一気に高まった。しかし、ニューヨークで刑事裁判に至ったのは2人についてだけだった。

弁護人が週刊誌に寄稿

陪審員が評議に入る直前、ひと騒動が起きた。

きっかけは、ワインスティーン被告の主任弁護人ドナ・ロトゥーノ氏が15日、米週刊誌ニューズウィークに意見論文を寄稿したことだった。

ロトゥーノ氏は寄稿で、「ワインスティーン氏の歩行器に対する嘲笑、法廷画家による実際よりひどい姿のスケッチ画、数え切れないほどの深刻な意見記事や偏見に満ちた記事、ロサンゼルスにおける政治的動機に基づいた都合のいいタイミングでの起訴は、すべて彼の有罪を事前に決定づける目的でなされた」と主張。

「陪審員には、あなたが正しいと知っていることと、裁判所で市民の義務を果たすよう呼ばれた際に期待されたことを実行するよう懇願する」と続けた。

Attorneys Damon Cheronis (left) and Donna Rotunno talk to reporters following a bail hearing for their client

画像提供, EPA

画像説明, ワインスティーン被告は合意のもとで性的関係をもったと主張した弁護人のドナ・ロトゥーノ氏(右)
Presentational white space

18日の法廷では、検察官がロトゥーノ氏の寄稿について、「100%不適切」なものだと批判。寄稿を無視するよう陪審員に指示してほしいと、ジェイムズ・バーク裁判官に求めた。

バーク裁判官はこれを拒んだ。ただし、検察も被告側もメディアに意見を述べてはならないとする、裁判の冒頭で伝えた禁止令について改めて言及。

ロトゥーノ氏に向かい、「あなたの絶大な広報力の触手に対し、警告しておく」と述べた。

動画説明, 性被害者が明かす「沈黙を破った理由」、ワインスティーン被告の刑事裁判を前に
Presentational white space

これに対しロトゥーノ氏は、「この意見論文は陪審員一般、刑事司法制度一般に関するものだ」と返答。寄稿は陪審員に直接呼びかけたものではなかったと反論した。

しかしバーク裁判官は、「一人称で陪審員に呼びかけるのは問題だと思わなかったのか?」と問い返した。

別の女優も被害を証言

裁判では、一時将来を嘱望された元女優のマン氏が、ワインスティーン被告によってホテルの部屋に閉じ込められ、強姦されたと証言した。同被告の5つの罪状のうち3つは、マン氏への行為に関するものだ。

一方、製作アシスタントだったヘイリー氏は、2006年にマンハッタンで2回、ワイスティーン被告に暴行を受けたと法廷で証言した。暴行は、同被告制作のテレビ番組がヘイリー氏を起用した後に起きたという。

裁判で検察側は、ワインスティーン被告は長年にわたり複数の女性に性的加害を及ぼしていたと主張。それを補強する証人として、罪状には含まれない女性たちを法廷に呼び、ワインスティーン被告から受けたとする被害の証言を求めた。

Annabella Sciorra

画像提供, JOHANNES EISELE/Getty Images

画像説明, 女優アナベラ・スキオラ氏もワインスティーン被告に強姦されたと証言した
Presentational white space

人気テレビドラマ「ザ・ソプラノズ」に出演したアナベラ・スキオラ氏は、1990年代前半に自宅でワインスティーン被告に強姦されたと証言した。これについては時効が成立しているため立件できないものの、検察側はスキオラ氏の証言を有罪判決を得るための補強材料にしようとした。

ワインスティーン被告の弁護人による反対尋問では、マン氏とヘイリー氏はともに、被害を受けた後に少なくとも1回、同被告と同意に基づいた性行為をしたと認めた。

弁護側はまた、マン氏とヘイリー氏が被害を受けたとする時期から何年もたって、ワインスティーン被告に送ったメールやショートメールを証拠として提出。両氏と同被告が友好関係にあったことがわかるとした。

さらに、被害を訴えている女性とワインスティーン被告は、「愛のある」関係のもとで性行為に及んだこともあったと主張した。