中国人権派弁護士・浦志強氏に執行猶予付きの有罪判決

中国の人権派弁護士・浦志強氏

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画像説明, 中国の人権派弁護士・浦志強氏(右、2011年11月)

中国の著名な人権派弁護士がインターネット上の書き込みで訴追されていた裁判で、北京の裁判所は22日、執行猶予つきの有罪判決を言い渡した。国営中国中央テレビが伝えた。

報道によると、北京市第2中級人民法院(地裁に相当)は、著名弁護士の浦志強氏がソーシャルメディアに書き込んだ内容が、民族怨恨扇動と騒動挑発にあたるとして、禁錮3年、執行猶予3年の判決を言い渡した。

浦氏がただちに釈放されるかは不明。執行猶予中は保護観察下におかれ、模範的な態度をみせれば減刑される可能性があるという。

浦氏は、尖閣諸島をめぐり中国共産党を揶揄したり、新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族への「過剰な取り締まり」や、チベット独立運動をめぐる政策を疑問視する内容をソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」に投稿し、2014年5月から拘束されている。

私服警官が裁判所前から活動家や記者を強制排除する様子をBBC取材チームが目撃した(22日、北京)

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画像説明, 私服警官が裁判所前から活動家や記者を強制排除する様子をBBC取材チームが目撃した(22日、北京)

判決言い渡しの前には、裁判所前に支援者や外国人記者たちが数人集まり、私服警官たちともみ合った。14日に1日だけ3時間にわたり行われた審理当日と同様、警官は集まった人たちを強制排除した。

14日には傍聴を希望する外国報道陣や大使館員らが警察に押され、排除された。

14日の公判を傍聴した家族によると、浦氏は全面無罪を主張。当日予想されていた判決言い渡しは延期され、22日の言い渡しとなった。

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<現場から> スティーブン・エバンズ、BBCニュース、北京

浦志強氏は弁護士としてある種の有名人だ。大きな体は熊のようで、深いバリトンの声で多くの人を弁護してきた。特に言論の自由を保護し、収容所の強制労働から市民を守るために、その声は響き渡ってきた。

わかりやすい気さくな言葉遣いに古典文学の引用を織り交ぜながら、強力なスタイルで演説しする。浦氏を描写するにあたっては「血気盛ん」という言葉がよく使われる。

そして1989年に民主化デモに参加した学生のひとりとして収監されて以来、喉の奥の小骨のように中国当局を苛立たせてきた。

支援者たちは、浦氏が現在こうして裁判にかけられているのは、当局が罪状として挙げる7つの投稿がその理由ではないという。むしろ、反体制派や反体制派の弁護士たちに警告するため、浦氏が利用されているのだと。

政府に批判的な支援者のひとりはこう書いた。「キーボードで何か書くとき、自分たちの指に何か重しがかかっているような感覚を、市民に味あわせたい。当局はそのために(浦氏訴追を)やっているんだ」。

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浦氏は昨年5月、天安門事件25周年の集会に出席した後、逮捕された。

家族や弁護士は報道陣に、浦氏はかなり体重を落とし、髪は白髪交じりになったが、体調は良さそうで意識もはっきりしている様子だと話した。

複数の国際人権団体は浦氏の訴追を政治的迫害と非難。アムネスティ・インターナショナルは、訴追において「異例な手続きが繰り返されている」と批判している。

浦氏は、当局が芸術家・艾未未(アイウェイウェイ)氏を脱税容疑で拘束した際に弁護を担当した。この事件も、当局の動機は政治的締め付けだと批判された。浦氏はさらに、中国で裁判なしで何年も拘束されることのある強制労働収容所の廃止を訴え活動してきた。

(英語記事 Pu Zhiqiang: China rights lawyer gets suspended jail sentence)