尹大統領の弾劾訴追案が可決、職務停止に 弾劾審判で罷免を判断へ
「非常戒厳」を出した韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対する弾劾(だんがい)訴追案が14日、韓国国会で可決された。大統領の職務は停止される。今後は罷免(ひめん)の可否を判断する憲法裁判所の弾劾審判に移り、大統領の権限は韓悳洙(ハンドクス)首相が代行するが、内政や外交に混乱が生じるのは必至だ。
野党6党が提出した弾劾案は、13日に国会本会議に上程された。尹氏を「国民の信頼を裏切って憲法が付与した戒厳宣布権を乱用し、内乱罪を犯した」と指摘していた。
可決には国会(定数300)の在籍議員の3分の2の賛成が必要で、当初から賛成するとみられた野党や無所属の192人に加え、与党議員から8人の造反が出るかが焦点だった。
尹氏は採決に先立つ12日、国民向け談話を発表し、「大統領の非常戒厳宣布権の行使は統治行為だ」と主張し、内乱罪だと主張する野党を批判。「私を弾劾しようが、捜査しようが、これに堂々と立ち向かう」と全面対決の姿勢を示していた。
今後は、憲法裁の弾劾審判に移る。憲法裁は180日以内に尹氏を罷免するかを判断し、罷免が相当と判断されれば尹氏は失職となり、60日以内に大統領選が行われる。
今回の弾劾訴追に加え、内乱容疑での捜査も進んでいる。13日までに、非常戒厳を尹氏に建議したとされる金竜顕(キムヨンヒョン)前国防相や、警察トップの趙志浩(チョジホ)・警察庁長官らが内乱の「重要任務従事者」の疑いで逮捕された。尹氏も内乱の疑いで告発され、すでに出国禁止措置を受けている。韓国メディアは、捜査当局が尹氏を「首謀者」とみていると報じている。