「男か女しかない世界で存在否定され続けた」ノンバイナリーの第一歩
大貫聡子
ノンバイナリーの関西在住の50代が、「長女」と書かれた自分の戸籍の記載を、性別によらない表記に変えるよう、近く京都家裁に申し立てる。公的書類で常に男か女かを選ばされる日本では「社会にエントリーするための最初のドアが開かない」と感じてきた。
小さい頃から、女性にしかつけない名前を自分の名前として受け入れられなかった。学生時代、野球の応援に行けば、男子は応援団、女子はチアガール。制服も役割も、男性か女性のいずれかでいることを求められた。「生まれてから一度も男だとも女だとも思ったことがない。なのに社会も周囲も女性扱いをしてくる。ずっと存在を否定され続けてきました」
「死にたい」と思わない日はなかったが、死後、自分の身体を誰かに見られることを想像すると耐えられず、踏みとどまった。
居場所を求めた半生
大学卒業後は非正規で働いて…