最高裁裁判官の国民審査、解職なし 長官ら4人が「×」10%超

国民審査

遠藤隆史
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 27日に行われた最高裁裁判官国民審査について、総務省が28日、結果を発表した。対象の裁判官6人は全員信任され、解職はなかった。

 約5572万人の投票があり、投票率は53・64%(前回55・69%)だった。×印が有効票の半数を超えると解職され、何も書かなければ信任と扱われる。×印の割合(罷免(ひめん)率)が最も高かったのは最高裁長官の今崎幸彦氏、最も低かったのは9月に就任した中村慎氏だった。2003年以降の国民審査で罷免率が10%に達した裁判官はいなかったが、今回は4人が超えた。国民審査は今回で26回目。罷免率がこれまで最も高かったのは15・17%で、半数を超えて解職された裁判官はいない。

 最高裁裁判官は、任命後初めての総選挙の際に審査を受けると憲法で定められている。今回対象となった6人は、前回衆院選があった21年10月以降に任命された。

「×」印がついた票の数

※()内は有効票に占める割合。告示順、敬称略

①尾島明(66) 裁判官出身 598万11票(11・00%)

②宮川美津子(64) 弁護士出身 571万5535票(10・52%)

③今崎幸彦(66) 裁判官出身 622万9691票(11・46%)

④平木正洋(63) 裁判官出身 541万9857票(9・97%)

⑤石兼公博(66) 行政官出身 543万9056票(10・01%)

⑥中村慎(63) 裁判官出身 533万5897票(9・82%)

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この記事を書いた人
遠藤隆史
東京社会部|最高裁担当
専門・関心分野
司法、労働、福祉
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    マライ・メントライン
    (よろず物書き業・翻訳家)
    2024年10月29日6時50分 投稿
    【視点】

    この「信任」機能、「情報が充分に開示されず、ただ名前を見て評価しろと言われている状態」と多くの人が述べる。ある意味、非常にもったいないのだが、そもそもそうなることを権力行政の側が促しているのかもしれない。 例えばマスコミが事前に「今回の6人

    …続きを読む
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    菅野志桜里
    (弁護士・国際人道プラットフォーム代表)
    2024年10月29日13時43分 投稿
    【提案】

    「知らないからスルー」ではなく「迷ったら✖」でもいい。6名中4名が罷免率10%超えという今回の結果は、国民審査が機能し始めた兆しと言える。ただ判断材料がないまま判断を強いられる制度上の欠陥を改善する必要があるだろう。 今回の結果を個別にみる

    …続きを読む
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