「屋根を見せて」首都圏連続強盗、現場取材で浮かんだ「業者」の存在
首都圏で相次いでいる強盗事件で、被害に遭った住宅などは、いずれも「ピンポイント」で狙われたとみられている。一連の強盗事件に関わったグループは、どのようにして犯行場所を選定したのか。現場を取材すると、近年、警察が注視している「手口」が浮かび上がった。
警視庁などの合同捜査本部によると、一連の強盗事件は関連が疑われるものも含め、8月以降に少なくとも14件発生。質店などのほか、10月に入ってからは男らが住宅に押し入って現金などを奪い、住人が殺害される事件も起きている。
1都3県の広い範囲で特定の住宅が狙われており、捜査本部は、犯行グループがあらかじめ被害者の資産の保有状況や保管場所などを事前に把握していた可能性があるとみている。
各地の被害現場周辺を取材すると、ある共通点があった。
東京都内で起きた事件では男らが住宅に押し入り、住人女性をテープで縛った上で、室内に保管された大金を奪って逃走した。捜査関係者によると、男らはスマートフォンを通して「金はどこだ」と聞き出していたという。
警視庁によると、飛び込みで訪れた業者の「助言」を受けて、女性は今年、自宅をリフォームしていた。ただ、この業者に関する相談などが警視庁に寄せられていたといい、警視庁はこの業者を悪質リフォーム業者として把握していた。女性は高額な代金を自宅に保管していた現金で支払ったという。
朝日新聞が周辺を取材すると、同じ時期、「訪問営業」を受けた住宅が複数確認された。
近くに住む50代の女性によると、3~4月ごろ、男性3人が被害女性宅の名前を挙げ、「リフォームをしている者です」と営業に訪れたという。「経年劣化があるかもしれない。屋根を見せて欲しい」と言われて上げると、「小さい傷がある。修理してもいいと思う」と話したという。女性は断った上で後日、別の業者に見てもらったところ、修理する必要は一切ない傷だと伝えられたという。