坂本龍一さん死去 がん闘病 「ラストエンペラー」アカデミー作曲賞
音楽グループ「イエロー・マジック・オーケストラ」(YMO)のメンバーとして活動し、映画「ラストエンペラー」で米アカデミー賞作曲賞を受賞するなど、世界的人気を誇る音楽家の坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんが、3月28日、死去した。71歳だった。がんとの闘病を明らかにしていた。葬儀は近親者で営んだ。
東京都出身。東京芸大で作曲を学んだ。ドビュッシーやベートーベンなどのクラシックを土台にしながらも、大学入学以降は電子音楽、民族音楽に傾倒する。同大大学院を修了後、1978年にアルバム「千のナイフ」でデビューした。
同年、細野晴臣さん、高橋幸宏さんとYMOを結成。「ライディーン」「東風」「ビハインド・ザ・マスク」など、シンセサイザーとコンピューターを駆使したサウンドで、「テクノポップ」という新たな領域を開き、世界的な人気を獲得した。
映画音楽では、自身も俳優として出演し、音楽を担当した83年の「戦場のメリークリスマス」が英国アカデミー賞作曲賞を受賞。87年の映画「ラストエンペラー」で日本人初の米国アカデミー賞作曲賞を受賞した。92年にバルセロナ五輪開会式の曲もつくった。
社会問題にも強い関心を寄せた。2006年には青森県六ケ所村の核燃料再処理工場の危険性を訴える「ストップ・ロッカショ」プロジェクトを始動。東日本大震災以降はさらに反原発運動に注力し、首相官邸前デモにも参加した。
14年に中咽頭(いんとう)がんが判明。克服後の20年にも直腸がんが見つかり、療養していた。昨年3月に復帰し、12月には事前録画した無観客コンサートを配信。今年1月には新作アルバムをリリースするなど、病と闘いながら活動を続けた。