第8回投票しないと罰金のベルギー、政治参加「9割」 少数者の意見も反映
22日に参議院選挙が公示されました。このところ毎回、投票率の低さが問題となる日本の国政選挙。かたや海外では、投票が義務化されて怠ると罰金を支払わなければならない国々もあります。義務投票制を導入して130年近い歴史を持つベルギーでは、投票率は約9割にのぼります。「投票の義務」は、現地ではどのように進められ、どう受け止められているのでしょう。同国出身の法社会学者で、日本研究も手がけるディミトリ・ヴァンオーヴェルベーク東京大学教授に聞きました。
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――ベルギーでの投票の義務化は古い歴史があると聞きました。
「ベルギーで『義務投票制』が生まれたのは1893年です。9割近い投票率が続いてきましたが、投票は市民の義務だという意識が定着しています。税金を払う感覚と近いですね。投票の義務を怠ると、初回では40~80ユーロ(約5600~約1万1200円)の罰金ですが、何度も怠るとさらに高額になります」
「幼いころの思い出があります。選挙管理委員会の仕事を手伝うのも市民の義務なのですが、くじで決まります。私の母親も選ばれたのですが、選挙当日に10分遅刻しただけで、罰金が科せられたのです。これには驚きました」
――義務化にはどんなメリットがあるのですか。
「それにお答えするためには…
- 【視点】
義務投票制の国のひとつ、オーストラリアの選挙を2019年に現地で取材しましたが、投票率(の問題)が報じられていた記憶はありません。義務投票制が導入されてから1世紀近くになりますが、国政選挙では投票率はいずれも90%前後に達しています。投票に
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