ゲーマー向けのGPUを作っている企業として知られているファブレス企業のNvidia。同社は目立ってはいないものの、実は昨今のAIブームで大成功を収めていると、海外メディア「CNBC」が報じています。
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未曾有の〝AIブーム〟に10年前から備えていたNvidia
現在、世界で最も価値のある企業のトップ10に入るNvidiaは、30年経った今でも創業者のジェンスン・フアンCEOが指揮を執る、シリコンバレーの数少ない大企業のひとつです。売上高の80%以上を占める同社の主要事業は、GPUです。GPUは通常、PCのマザーボードに差し込むカードとして販売され、AMDやインテルといった企業のCPUに計算能力を加えるものとなっています。
Nvidiaは1997年に最初の高性能グラフィックチップを設計し、ゲームとハリウッドの視覚効果の高速レンダリングに革命を起こしました。製造ではなく設計ですが、これはフアンCEOがNvidiaをファブレス・チップ企業にすることに注力し、チップ製造にかかる膨大な費用をTSMCに委託することで資本支出を大幅に抑えたからです。
いくつかの失敗はあったものの、現在のNvidiaは26,000人の従業員を抱える巨大企業となっています。現在でもNvidiaといえばゲーマー向けのGPUというイメージがありますが、実はそれ以外にも大きく事業を展開しています。それが、データセンターやクラウドコンピューティング、そしてAIです。
10年以上前、NvidiaのCUDAとGPUは、AIのビックバンとして知られているAlexNetを支えたエンジンでした。2012年に開催された著名な画像認識コンテストで、AlexNetは非常に正確な新しいニューラルネットワークとして、競合他社を圧倒しました。
同社はこの頃から、深層学習(ディープラーニング)に会社を挙げて取り組むようになります。Nvidiaは10年前から、このようなAIがすべてを変える可能性があることを見抜いていたのです。
投資家たちは当初、Nvidiaのこの事業を時価総額で0ドルと評価しました。しかし、CUDAが登場してから10年後の2016年頃になって突然注目され始め、結果として、AI開発においてNvidiaが大きなリードを持つようになります。
Nvidiaは昨年、新しいRTX40シリーズGPUの価格を前世代よりはるかに高く設定し、供給過多によって直近の四半期のゲーム売上は前年比46%減となっています。しかし、Nvidiaはそれでも直近の決算報告で予想を上回りました。AIブームのおかげで、マイクロソフトやGoogleといった巨大企業が、ChatGPTのような大規模言語モデルの訓練に使用するエンジン「Nvidia A100」を何千もデータセンターに詰め込んだのです。
「Nvidia A100」の希望小売価格は200,000ドル(約2700万円)近く。生成AIで競争する企業は、この「Nvidia A100」を大量に購入し、何台持っているのかを比べあっています。例えばマイクロソフトは、ChatGPTを10,000台でトレーニングしました。
表向きはゲーマー向けGPUを出しているメーカーにしか見えませんが、実際には現在のAIブームを裏方として支え、着実に稼いでいるのはNvidiaです。またNvidiaは自社でもAI研究を進めており、自動運転やヘルスケア、そしてグラフィックの分野にAIを巧みに活用しています。
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