なんていい演奏なんでしょう。この心地よさ、語弊があることを承知で言うならば「日本人の演奏」と言っていいでしょう。まぎれもなくそうです。7番の交響曲なんか、テンポといい、音楽の輪郭といい、背伸びをした解釈がなくて、無理がなくて、とてもいい物を聞いた感が強いです。録音場所も厚生年金会館や世田谷区民会館、杉並公会堂という我々の世代には懐かしいだけでなくものすごくなじみのあるホールでの録音ですので、音も落ち着いています(杉並公会堂はいいな〜)。
1968年ですからもう40年も前になるんですね。日本全体が何の疑いもなくがんばっていたときの録音です。岩城さんも武満徹や石井真木、黛敏郎の演奏をバカスカやっていた時代で、後年の「迷い」がありません。マラソンコンサートは聴いたことがないのでなんともいえませんが、私には、この全集で十分です。でもマラソンも聴いてみます。