世界の涯の物語 (河出文庫) | ロード・ダンセイニ, 中野善夫, 中村融, 安野玲, 吉村満美子 |本 | 通販

ケンタウロスの花嫁他

本の長さ

373ページ
言語

日本語
出版社

河出書房新社
発売日

2004/5/1
ISBN-10

4309462421
ISBN-13

978-4309462424
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商品の説明

内容（「MARC」データベースより）

トールキン、ラヴクラフト、稲垣足穂等に多大な影響を与えたファンタジーの源流。神々の与える残酷な運命を苛烈に美しく描き、ロンドンに世界の涯を誘う、魔法の作家の幻想短篇集2冊を完全収録。

登録情報

出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社 (2004/5/1)
発売日 ‏ : ‎ 2004/5/1
言語 ‏ : ‎ 日本語
文庫 ‏ : ‎ 373ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4309462421
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4309462424

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- - 2,376位河出文庫
- - 5,890位英米文学研究
- - 8,415位英米文学

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ロ−ド・ダンセイニ

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nada
美しい物語と、唐突に破滅する物語
2017年11月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
夢の中の薄暮に隠されている様な、儚く美しい世界にいっとき潜む事ができる得難い物語集です。私はケンタウロスの花嫁が好きです。

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レポート
Amazon カスタマー
他の方も書かれていましたが
2016年12月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
翻訳が下手なような気がします。
読み始めてみてあまりに意味がわからなかったので、自分の理解力を疑いました。
好きなジャンルだけに残念です。
原版のほうを読んでみようかと思います。

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7人のお客様がこれが役に立ったと考えています

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レポート
Amazon Customer
ダンセイニは当初の１ページ目から有無を言わさず読者を幻想世界に放り込む
2016年11月9日に日本でレビュー済み
多数の作品に幻想性とユーモアが溢れている。
前者に関してはこれまでも散発的に紹介されてきたし、後者については「魔法の国の旅人」でジョーキンズ氏の壮大な法螺話に触れることが出来るが、一見すると同じ作家の作品のようには見えないのではないだろうか。
しかし、本書に収録されている一連の作品を続けて読むと、幻想性とユーモアの両面は、ダンセイニの中に相反することなく存在していたことが判る。
また、彼が生み出した作品は、後の作家達に大なり小なり影響が見られる場合があるが、「宝石屋サンゴブリンド、並びに彼を見舞った凶運にまつわる悲惨な物語」の主人公サンゴブリンドは、彼を現代小説風のキャラクターとして考えると、一つの作品が自然と想起される。
「宝石屋」とは言うものの、サンゴブリンドが商うのは盗品であり、売り物は自ら調達している。
つまりは盗賊である。
彼の元に新たに舞い込んだのは「マウン・ガセ・リンの神殿におわす蜘蛛神像フロ・フロの膝に載っているダイア」の入手。
サンゴブリンドは陳列台の下から愛剣＜鼠＞を取り出し、一人夜の闇に紛れて神殿へ向かう・・・

フリッツ・ライバーの「ファファード＆グレイマウザー」を読んだことのある人ならばサンゴブリンドの愛剣＜鼠＞や蜘蛛神像との戦いの場面に既視感めいたものを覚えずにはいられないだろう。
ライバーはキャラクターだけではなく、異世界ネーウォンを創造するにあたって「異教の神々」についてもダンセイニから影響を受けたようだ。
本書に収録された「チュー・ブとシューミッシュ」という卑小な神々同士の喧嘩騒動は、「瓶のイセク」という、その卑小さにおいては他に類を見ないライバーの創作神のベースになっているように思えるし、更に言えば、ダンセイニからの直接的なものなのかライバーからの間接的なものなのかは不明ながら、テリー・プラチェットの「ディスクワールド」に登場する亀の姿形となった神「オム」にも同じようなユーモアが見て取れる。
なるほど、ことユーモアという点においては現代においてもダンセイニに引けを取らない作家・作品があるようだが、幻想性という点に関してはダンセイニを越えるものはなかなか見当たらない。
特異な世界を読者に馴染ませるために多くの文章を必要とするというのは、他ジャンルよりも長編化する傾向のある最近のファンタジーを書く人々の言い訳だろう。
ダンセイニは当初の１ページ目から有無を言わさず読者を幻想世界に放り込む。

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レポート
dobu-ochi
この翻訳ではダンセイニの真価はわからない
2014年1月13日に日本でレビュー済み
ロード・ダンセイニの短編集二冊、『The Book of Wonder』と『Tales of Wonder』（たぶんアメリカ版のタイトルはThe Last Book of Wonder）の全訳です。
翻訳は4人が分担していますが、翻訳能力にかなり差があり、ひどい訳はまったくひどい。本書を読んで「ダンセイニってこんなものか」と思ってしまう読者もいるだろうことを考えると、本書はむしろ出版されない方がよかったとさえ思います。

私が原文と読み較べたかぎり、中村融、安野玲両氏の訳はまずまず信用できます。しかし吉村満美子、中野善夫両氏の訳は誤訳だらけで、とても出版できるレベルには達していません。

お二方とも、見たところ「簡単な英文ならなんとなく読める」という程度の英語力のようです。原文はインターネット上で公開されているので、英語の読める方は確認してみてはいかがでしょうか。原文と読み比べなくても「この翻訳なんか変」と感じるとは思うのですが。
でも読者の中には、誤訳のせいで意味がわからなくても、「これは幻想文学だから」ということでなんとなく納得してしまう方もいるかもしれませんね。実際のダンセイニの原文は、遠回しにほのめかすような書き方をすることはあっても、文章自体は論理的で明快です。本書を読んでいて、夢の中のように筋の通らない飛躍や曖昧さがあったら、誤訳と見てまちがいありません。
吉村、中野両氏とも、1ページにつき3か所から10か所ぐらいは誤訳がある印象（数え方にもよりますが）。私が読んだのは第二刷で、この版で誤訳が少し修正されたとも聞きますが、それでもいまだ論外の欠陥翻訳です。

ただし、本書収録作品のうち、既訳のある作品（ちくま文庫『妖精族のむすめ』や、国書刊行会『ヤン川の舟唄』に収録のもの）については、それらの既訳を相当程度下敷きにしているようで、翻訳は改善されていると言ってよいかと思います。

ちなみに荒俣宏（他）訳の『妖精族のむすめ』や『ぺガーナの神々』にも誤訳（および訳者による書き足し？）はありますが、致命的なものはたぶん少ない。また、訳文は荒俣訳の方が私は好みです。荒俣訳は多少誤訳があるとはいえ読み返す気になりますが、本書の吉村、中野訳は二度と読む気になりません。
『ヤン川の舟唄』の原葵訳は、原文と読み較べてはいませんが、優れていると思います。ただ収録作品数は少ない。

できることなら、河出書房新社は本書（を含む河出文庫の4冊）をすべて回収し、吉村、中野両氏のでたらめな翻訳を新しい正確な訳に差し替え、その他の誤訳も修正し、「新訳」とはっきり銘打って出版するべきです。でもそれは難しいでしょうね。
他の出版社は、この翻訳があるからと言って遠慮せず、信頼できる訳者による決定訳をぜひ出してほしい。それももっと落ち着いた色の装丁で。

本書も一応、中村、安野両氏の訳はまずまず信用できるので、そのために買う価値はあると思います。

そしてこれはレビューの範囲を越えるかもしれませんが、どうしても一言書かずにいられない。
これほどまでに読めていないということは、中野善夫氏は自分の翻訳があてずっぽうなものだと自覚していたはずです（そうでなければ重症だ）。氏は自ら「ダンセイニ愛好家」または「ダンセイニ研究家」と名乗っておられるようですが、自分の好きな作家が、自分の不正確な翻訳のせいで不当に低く評価されるかもしれない、ということに畏れや罪悪感を抱かなかったのでしょうか。

＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝＝

以下は誤訳の具体例です。興味のある方だけどうぞ。

吉村氏は誤訳以前に、まず原文の誤読をしている。たとえばp.50、「眩暈（めまい）を誘うような夕暮れどき」は、原文では “drizzly evenings” すなわち「小雨の降る夕暮れどき」。おそらく ”drizzly” を “dizzy” と読み間違えたのだろう。またp.53では二か所で、原文の「星々」（stars）を「階段」（stairs）と訳している。
P.49では「……神に対する礼儀に反する行為だった。」のあと一文脱落。→「サルマ神はこのささいな願いを聞き入れることを拒んだ。」を挿入。同ページ「十五番目の神」→「五十番目の神」。

吉村、中野両氏とも、単数／複数、現在形／過去形、定冠詞／不定冠詞の違いで意味が変わる場合も、それを無視していることが多い。
たとえばp.118、「遠く離れたよその街までやってきた」と、特定の一つの街を訪れたように訳されているが、原文は “cities” と複数形で、「いくつもの街を訪れた」という意味。
中野氏の例では、p.187・p.189「なぜ牛乳屋は夜明けに気づいたときに戦慄き（おののき）震えたのか」は、正しくは「震えるのか」である。こうなると英語力のみならず、文章読解力または文学観賞力の問題といえましょう。
P.195では、「どうしてあの女は（中略）黒いガウンを身に着けていたのだろう」「あの女が急いでいた目的は何だろう」と過去形に訳されている。しかし、次の段落では現にその女が眼の前にいるので、筋が通らない。正しくは「身に着けているのだろう」「急いでいるのだろう」。原文は確かに過去形になっているが、それは時制の一致というやつで、物語が起こっている時点では現在進行中なのです。

中野善夫氏はおそらくもっとも英語力が低い。特に「スフィンクスの館」は、いくつもの致命的な誤訳のせいで全体の意味をつかむことが不可能になっている。
P.33「あらゆるものに覆いがかぶせられていたが（中略）隠すためのものだったのだろう。」の3行は完全な誤訳。正しくは「ある一つの行為が行われたということがすぐに判ったが、一枚の覆いがかけられていて、できる限りそれを隠そうとしていた」という意味（挿絵を見てもわかる）。おそらく訳者は文章構造をまったく理解しておらず、並んでいる単語を見てあてずっぽうに訳しただけだと思われる。
P.34「それがやって来たときには間違いなく何かが起こるということが判ってきた」は、正しくは「（それまでに）起こった何かが、その到来を確実なものにしたのだということが判ってきた」という意味。
P.35「森を歩くものたちをことごとく調査し処罰するもの」は、「森を歩くものたちのために調査し復讐する者」と正反対の意味。”Avenger”の意味を勘違いしている。

P.349「その見知らぬ者が行くようにいったのが、電話のある部屋だった」→正しくは「その見知らぬ者は、先に立って電話のある部屋へと導いて行った（“lead”）」。中野訳を読んだ人は、次の場面でその見知らぬ者が語り手と一緒にいるので混乱するでしょう。
同ページ「なんてこった」→原文“Hell”。間投詞と見て「なんてこった」と訳すことは可能だろうが、ここでは意味が通らない。内容からすれば、ここはそのまま「地獄」、または「地獄につないでくれ」とでもすべきではないか。

P.309『望楼』の冒頭、「ゴート人とヴァンダル人たちが、仕上がるのをずっと待っていた古代の町」という部分。
西条八十訳（『西条八十全集』第5巻p.135）では「ゴス人やワンダル人が今日までわづかに支へてゐる昔ながらの町」となっている。
原文は、an ancient town that Goth and Vandal as yet have forborne to "bring up to date" で、
これは、「ゴート人とヴァンダル人たちが、まだ「近代化」することを自制している昔ながらの町」という意味でしょう。

吉村、中野両氏の訳は、適当にページを開けばいくらでも誤訳が見つかります。挙げようと思えば数百か所は挙げられるでしょう。誤訳だけでなく、日本語としておかしい文章も多い。

中村氏は、ただ一人、複雑な文章も文法的にきちんと分析して理解する英語力があるように見える。ただ、ニュアンスの微妙な誤解は時々ある。また訳文は生硬で、私は好きではない。

安野訳は、吉村、中野訳よりよほど良いが、それでも誤訳がやや多い。たとえばP.71「ドラゴンは長いこと夢を見て、すでに薄暮の帳が降りていました」→「ドラゴンが夢を見ている限りはずっと、薄明かりが照らしていました」。原文 “so long as” は “as long as” と同じ意味です。
訳文に関しては、「ファンタジーらしい」「格調高い」言葉で訳そうとしている工夫が感じられるが、それが付け焼刃的というか、かえって安っぽく感じられる場合もある。
また、適当ではない意訳をしている場合がけっこうある。たとえばp.69、「イングランドではたいへん尊ばれるわずらわしい誡めの数々を思い出せなくなりました」とずいぶん意訳しているが、ここは原文通り「イングランドでたいへん愛されている薬の広告も忘れてしまいました」とでも訳すべきでしょう。近代化や商業主義に対する批判はダンセイニの作品によく出てくる。
またP.18「元気な時に」も、原文の “in one’s youth” をそのまま「若い時に」「若い盛りに」と訳すべきでしょう。その方が、主人公が250歳の「若い」ケンタウロスである、という設定が生きてくる。

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sugiyama_atusi
ファン待望の一冊。そして、ダンセイニの復活
2004年5月3日に日本でレビュー済み
一部ファンタジー愛好家の間でのみ囁かれるのみに
なっていた、稀代の幻想作家、ロードダンセイニ。
彼の絶品ともいえる初期短編集２冊の完全収録された夢とも思える
本がついに発売された。
この本の素晴らしいところは、全編新訳というだけででなく、
初出にあったサイムの挿絵は完全収録。
作品の並びも短編集の並びにならったというこだわりにもあります。
また、解説の中野さんの文章もダンセイニへの愛情が溢れ、
これも読み応えがあります。
売れれば続きがでるかもとのことです。

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jungleーpoket
続編も欲しくなりました。
2007年5月13日に日本でレビュー済み
購入して少しづつ読み進めるつもりでしたが、一気に読んでしまいました。本書はファンタジー神話を題材にした、幻想物語集です。この本に限らないのですが、ダンセイニの小説は非常に想像力を刺激します。仮想の世界を、叙事詩的な物語にまで昇華させて読者をその異世界に解き放ちます。日常生活の無意味な繰り返しに飽き飽きしている人には、良い薬となること間違いなしです。訳文も秀逸です。続編も購入したくなりました。

なお内容についてですが、この本は一話一話が神話的物語が中心となっています。ゆえに「小説を読む」という感覚よりも、「詩を読む」という感覚に近いのかもしれません。だから「剣と魔法の世界」のような、派手なアクション性が濃いエンタテイメント小説を期待している人にはお勧めできません。

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rael5
やっぱり翻訳がダメ
2023年8月14日に日本でレビュー済み
誤訳でも意訳でも全然構わないのですが、日本語の文章自体に首を捻るものが多く、読み進むのが難しい。他の訳者のダンセイニ翻訳本はきちんとした日本語なので、本書だけ原文が難解という訳ではなさそう。

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ムーン
訳者と役者
2004年8月30日に日本でレビュー済み
中野善夫さんをはじめ、本書の訳者が「役者」だったとは知りませんでした。己が不明を恥じ入る次第。序でに「ヘタクソな訳」がなにを基準にしたものなのか、その辺りの消息をお聞かせいただきたい。また「いたるところで誤訳があ」るそうですが、たとえ一箇所でもよろしいから示唆願えればありがたく思います。共訳なれば、人物名が異なるのは芸のうち、敢えて統一して仲間割れを起こすよりはその不一を微笑ましさと解するのが読者の心得かと。「訳が酷すぎ」はひとの翻訳にけちをつける以前の問題ではないのでしょうか。
さながら透明人間のごとく、訳者の息づかひは抑えられ、署名はあってもほとんど匿名に近い文章が跋扈する時代にあって、本書の文体には燦然たる輝きがあって、十二分に際だっている。原文を理解し、咀嚼したうえでの日本語の高次な表現力を駆使し、そんじょそこらの無味乾燥な翻訳とは一線を違えている。私にとっては一押しの書物である。

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世界の涯の物語 (河出文庫) 文庫 – 2004/5/1

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