【12月31日 AFP】韓国南西部・務安空港で29日にタイ・バンコク発の格安航空会社(LCC)、済州航空のボーイング737-800型機が着陸に失敗・炎上し、搭乗していた179人が死亡した事故について、当局は調査の初期段階で鳥との衝突(バードストライク)が原因だった可能性を挙げている。さらなる調査が必要だが、世界では航空交通の拡大に伴い、鳥との衝突事故は増加傾向にある。

米連邦航空局(FAA)のデータによると、2022年には米国だけで鳥との衝突は1万7190件記録された。

フランスの民間航空局(CAA)の記録では、仏本土で毎年発生している民間航空機と鳥との衝突は約600件で、うち8%弱が深刻な事案となっている。

航空輸送分野における野生動物の危機管理を推進する非営利団体(NPO)「オーストラリア航空野生動物ハザードグループ(AAWHG)」によれば、今回の韓国での事故を除き、1988年以来、鳥との衝突で破壊された航空機は250機、死者は262人に上る。また、鳥との衝突が航空機に与える損害は、毎年12億ドル(約1900億円)超に上るという。鳥との衝突は通常、離着陸時の0~15メートルの比較的低高度で発生することが多い。

高高度での空中衝突は非常にまれだが、まったくないわけではない。最も著名な事故の一つは2009年1月、米ニューヨークでハドソン川に不時着したUSエアウェイズ旅客機の事故だ。この時はパイロットが冷静に機体を着水させ、乗客・乗員155人は無事だったが、同機はガンの群れと衝突していた。