【7月29日 AFP】パリ五輪の大会組織委員会は28日、奇抜な開会式で不快な思いをした人がいるなら「本当に申し訳なく思う」と謝罪した。一方で、宗教に対して「敬意を欠く」意図はなかったと強調した。

 演出家トマ・ジョリー(Thomas Jolly)氏(42)が芸術監督を務めた26日の開会式をめぐっては、一部のカトリック系団体や仏国内のキリスト教会司教らから「キリスト教を嘲笑する場面」があったとの批判が出ていた。

 批判が集中しているのは、ダンサーやドラアグクイーン、DJがイエス・キリストの「最後の晩餐(Last Supper)」を思わせるポーズを取ったとされる場面。

 組織委の広報担当者はこの日、記者団に対して「いかなる宗教団体に対しても敬意を欠く意図は決してなかった」とし、「不快になった方がいたとしたら当然、本当に申し訳なく思う」と話した。

 ジョリー氏は、最後の晩餐をモチーフにしていないと主張している。

 多様な性への寛容を訴える意図があったこの場面では、全身を青く塗ったほぼ全裸の仏アーティスト、フィリップ・カトリーヌ(Philippe Katerine)さんが銀の皿に乗って登場。

 その姿はギリシャ神話の酒の神「ディオニュソス(Dionysus)」を模していた。ディオニュソスは、セーヌ川(River Seine)の女神セクアナ(Sequana)の父とされる。

 ジョリー氏はニュース専門局BFMに対して「オリンポス(Olympus)の神々につながる、多神教の一大パーティーを開くというアイデアだった」と説明した。

 開会式ではまた、マリー・アントワネット(Marie-Antoinette)が1789年のフランス革命(French Revolution)後に投獄された牢獄「コンシェルジュリー(Conciergerie)」の窓に、切断された自身の頭を抱えた女性が登場するという演出もあった。

 マリー・アントワネットは夫のルイ16世(Louis XVI)と共にギロチンで斬首された。

 ジョリー氏は「処刑道具のギロチンを賛美する意図は全くなかった」と釈明した。

 一方、組織委が委託した調査会社ハリス(Harris)による世論調査では、フランス国内の回答者の86%が開会式を肯定的に捉えていることが示された。

 最も印象に残った場面としては、カナダ・ケベック(Quebec)州出身の歌手セリーヌ・ディオン(Celine Dion)による、エッフェル塔(Eiffel Tower)でのパフォーマンスが挙げられた。(c)AFP/Adam PLOWRIGHT