【11月12日 CNS】中国で「三人っ子政策」が実施されて以来、多くの地域が出産の奨励のために育児手当新政策を導入している。具体的な政策は地域ごとで大きく異なる。多くの地域では、2人目と3人目の子どもを持つ家庭に手当を提供しており、一部の地域では1人目の子どもも育児手当の対象にしている。また、一部の企業も従業員に出産を奨励する措置を導入している。

 これらの政策の実施の目的は、親の出産負担を軽減し、より多くの家庭に「子どもがほしい、育児は怖くない、産みたい」と思ってもらうようにすることだ。しかし、働く女性にとっては、長期的な養育・教育コストと出産による機会費用を比較すれば、これらの手当はほとんど焼け石に水だ。

 女性の子育てと仕事の両立のために、一部の地域では積極的な試みが行われている。今年8月、広東省(Guangdong)は、「ママポスト」ポジションを広範囲に開発・設定し、企業や社会組織などの雇用者が勤務時間を柔軟に調整し、労働の負担が少なく、職場環境が良好なポジションを「ママポスト」として設定し、柔軟な勤務時間とフレックスタイム制の実施をサポートすると提案した。

 首都経済貿易大学(Capital University of Economics and Business)人口経済研究所の盛亦男(Sheng Yinan)教授は、多くの働く親にとって、出産コストは妊娠検診や子育てなどの直接コストに加え、機会費用や心理的な負担も含まれるとみている。

「現在、各地で提供されている出産手当は、家庭の子育ての経済負担をある程度緩和できるが、長期的な養育・教育コストなどへの効果は限定的で、出産による機会費用や心理的負担を低減することは難しい。したがって、産休、保育サービス、税制、住宅保障などの複数の政策・措置を改善することで、出産意欲を高める必要がある」と、盛教授は述べている。

 一部の地域での「ママポスト」の設定の試みについて、21世紀教育研究院の熊丙奇(Xiong Bingqi)院長は、この試みの初心は、一部の働く女性が仕事と家庭を両立できるようにすることだと指摘した。しかし彼は、「ママポスト」ポジションは限られているため、乳幼児の保育問題を解決することがより重要だとみている。「保育の困難を緩和するためには、政府が主導的な役割を果たし、普恵的保育サービスを積極的に推進する必要がある」と、熊院長は述べている。

「雇用者は労働者に対して家庭に優しい職場環境の提供を奨励すべきだ。同時に、雇用者の権益も保護すべきで、雇用者が出産や産休期間中の女性労働者の給与分の支援を受けられるようにする、企業所得税の予納申告を行う際に、実際に一定の割合で控除を受けられるようにするなどし、出産が雇用者にもたらすコストを軽減すべきだ」と、盛教授は提案している。(c)CNS-工人日報/JCM/AFPBB News