【8月25日 AFP】ノルウェー当局は24日、最北部のロシア国境付近に設置された、トナカイの越境を防止するための柵を補修すると発表した。ロシア側は、ノルウェーからトナカイが越境し国立公園内の草をはむたびに、約5万クローネ(約68万円)の損害賠償を要求している。

 両国は198キロにわたって国境を接している。トナカイの越境を防止するため、ノルウェーはすでに自国側に150キロの柵を設けているものの、一部は1954年に設置され老朽化が進んでおり、トナカイが容易に往来できる状態になっている。

 今年に入りすでに42頭のトナカイが越境し、ロシア国立公園内で草などを食べた。ロシア当局は1回の越境につき、損害賠償として約5万クローネの支払いを要求。一方、ノルウェーに戻されたトナカイは、越境を繰り返さないよう殺処分される。

 農業局は「トナカイにも、ロシアへの越境は厳しく禁じられている」と強調。370万クローネ(約5000万円)をかけて、10月1日までに7キロの区間で新しい柵と交換するよう指示したと明らかにした。

 トナカイは、北欧全域に居住する先住民族サーミ(Sami)人が半遊牧状態で飼育しており、食べ物を求めて季節ごとに広大な土地を移動する。(c)AFP