【8月17日 AFP】20世紀クラシック音楽界の巨匠で、ユダヤ系米国人指揮者・作曲家の故レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein)の生涯を描いたネットフリックス(Netflix)映画『マエストロ: その音楽と愛と(Maestro)』が、バーンスタイン役が大きな義鼻を装着していることで人種的偏見をめぐる論争の的となっている。だが、バーンスタインの遺族は映画の演出を擁護している。

 米俳優ブラッドリー・クーパー(Bradley Cooper)が脚本・監督・主演を務める『マエストロ』の予告編が今週公開されると、クーパーが大きな義鼻を装着してバーンスタインを演じていることが物議を醸した。

 義鼻の装着はユダヤ人のステレオタイプを広めるという指摘や、非黒人が役作りのために顔を黒く塗る「ブラックフェース」になぞらえ「ジュー(ユダヤ人)フェース」だとする批判が上がっている。中には非ユダヤ人俳優がユダヤ人役を演じること自体を疑問視する声も上がった。

 だが、バーンスタインの3人の子どもたちはソーシャルメディアで、「父により似せるためのメーキャップをすること」は「まったく問題ない」とクーパーの演出を擁護。「レナード・バーンスタインの鼻が立派で大きかったのは事実だ」「父も問題視しないと確信している」と述べた。

 ウクライナ系ユダヤ人移民の2世だったバーンスタインは、1990年に亡くなった。

 米ハリウッド(Hollywood)では長年、主に白人俳優が実在の非白人を演じることが論争の的になっており、近年ではユダヤ人の役をユダヤ人以外の俳優が演じることがよく取り沙汰されている。

 例えば、今年公開の映画『Golda(原題)』で、英俳優ヘレン・ミレン(Helen Mirren)がイスラエルのゴルダ・メイア(Golda Meir)元首相を演じ、物議を醸した。(c)AFP