中国人が頼りにする第三者評価は本当に第三者による評価か
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【4月20日 東方新報】「スキンケアやメイクの評価を見ます。評価ブロガーが自身の肌で異なるブランドの製品を使ってみて、写真や映像で効果を説明してくれます」
こう話すのは北京で働く女性。ブロガーの評価は直接的で分かりやすく、リップクリームや日焼け止めを買う際にはいつも参考にするのだという。
値段、ブランド、性能や効果…。ネットショッピングの普及は、人びとにかつては考えられないほどの商品購入の選択肢と同時に、新たな悩みを与えた。選択肢が多すぎる悩みだ。何を選んでいいのか分からない…。ネットショッピングの発展で先んじた中国では、そんな消費者の悩みに答えてくれる新たな「サービス」もいち早く誕生した。
それが、冒頭の女性が触れた評価ブロガーだ。近年、中国の動画サイトやSNSのプラットホームには、複数のメーカーの商品をリアルな体験によって比較分析する「第三者評価」と称されるブロガーやサイトが次々と登場した。その結果、中国の消費者には、購入の前に「まず評価を見る」習慣がすっかり定着した。
ところが、「第三者評価」の評価の妥当性について疑問が呈される事態となっている。実際は、客観的な評価を装った広告であったり、特定のブランドの販促手段であったりするのだ。
中国消費者協会が先ごろ発表した、主要な動画サイトやSNSの「第三者評価」の350のアカウントに対する調査結果では、93.1%が評価の客観性に問題があったという。特定の企業の関与があったり、「第三者評価」のプラットホームを通じて販売された商品に問題が生じたり、評価にウソが含まれていたりした。
「長時間かけて動画を見て、最後にブロガーが強く推薦する600元(約1万1730円)余りのサッカーシューズを買ったけど、2回履いたら接着剤がはがれました」
「『第三者評価』のプラットフォームから商品をよく購入します。自分で店を比較しなくてよく手間と時間が省けるからです。でも、最近買った保温カップは、お湯を入れて2時間たたないうちに冷たくなりました」
こうした被害の声があがっている。
同協会によれば8割近くの消費者が、商品の購入前に「第三者評価」の内容を参考にし、最もコスパが良いと思うものを選ぶのだという。よく利用されるのは、家電、化粧品、衣類、靴を購入する際という。
「第三者評価」による評価が、客観的で正確であれば、確かに消費者が商品を選ぶ際の参考になるし、企業側に商品やサービスの向上を促すことにもつながる。だが、評価が客観性を欠き、ひそかに誰かの利益を代表するものなら、消費者に誤解や損害を与え、公正な市場の競争を阻害する結果になる。
同協会は、政府による監督や企業側の自主規制によって、「第三者評価」への参入のハードルを引き上げることや、プラットホームによるアカウント開設の審査強化などを提言する。
当局による監督や規制を待つまでもなく、そもそもは消費者自身が、他人の評価に惑わさず、商品の価値をきちんと判断できる冷静な目を持てばいい。そうは分かっていても、やはり他人がどう思っているかは気になるし、行列のできる店に行列してしまう自分がいる。(c)東方新報/AFPBB News