【4月20日 AFP】南アジアから東南アジアにかけて、記録的な暑さに見舞われている。バングラデシュでは先週、約60年ぶりの高温を記録。インドでは少なくとも13人、タイでは2人が熱中症で死亡したもようだ。

 タイの首都バンコクの中心にあるルンピニ公園(Lumpini Park)の近くで日傘をさしていたミカコ・ニコルズさんは「年々暑くなっている」と語った。バンコクには5年滞在しているが、今年が最も暑く、屋内や日陰にいるよう心掛けているという。

 国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は最近の報告書で、「地球温暖化が進行するにつれ、同時多発的に危険が高まる」と警告した。

 タイ気象局は19日、ターク(Tak)県で気温44.6度を記録したと発表。酷暑は来週まで続くと予測している。タイでは例年、雨期前が1年で最も暑いが、今年は特に厳しい暑さが続いている。

 国際的な気候政策研究機関「クライメート・アナリティックス(Climate Analytics)」の地域リーダー、ファハド・サイード(Fahad Saeed)氏は「タイ、中国、南アジアにおける今年の記録的な暑さは、長期変化傾向に明らかに表れており、今後数年にわたって公衆衛生上の問題を引き起こす可能性がある」と語った。

 同氏は「猛暑で最も打撃を受けるのは貧困層だ」と指摘。「冷房を使えなかったり、適切な日よけができなかったりする人々にとっては、生命にもかかわりかねない」と危惧する。

 ミャンマーのヤンゴンでは、タクシー運転手(42)が「暑すぎて日中は運転できない」と嘆いた。

■雨乞いの祈り

 1960年代以来の暑さとなる40.6度に達したバングラデシュの首都ダッカでは今週、数百人が集まって雨乞いの祈りをささげた。低地国のバングラデシュは気候変動の影響を強く受けており、例年にない異常降雨や洪水にも見舞われている。

 隣国インド西部のムンバイ(Mumbai)近郊では16日、屋外で行われた政府主催の授賞式で少なくとも13人が熱中症のため死亡した。気象当局は、一部地域では気温が平年を3~4度上回る状態が続いているとしている。

 北東部アッサム(Assam)州グワハティ(Guwahati)に住む主婦、ウルミラ・ダスさんは、用心のため子どもを学校に行かせていないと話した。「毎年この地方では3月中旬から雨が降るのに、今年は降っていない。一大事だ」

 商品の配達員は、暑さが厳しくて「移動するのも、商品を届けるのもやっとだ」と言う。「こんな天気はここ最近、経験した記憶がない」 (c)AFP