【12月17日 AFP】英政府の新たな教員採用方針を受けて、ジンバブエは医師や看護師に続き教師までもが国外流出する可能性に直面している。

 英政府は今月、養成場所を問わず、高い技能を有する教師の雇用機会を増やす方針を発表。2023年2月からはジンバブエ、ガーナ、ナイジェリア、南アフリカで教員免許を取得した教師を「有資格者」として認め、追加講習などを経ずに英国ですぐに授業を行えるようにした。

 ジンバブエの教育制度はロバート・ムガベ(Robert Mugabe)旧政権の数少ない成果の一つで、アフリカでも最高レベルとされてきた。

 主に失政によって経済が衰退しているにもかかわらず、高度な教育を受けた優秀な教師はまだ国内に大勢残っている。だが他の公務員と同じく給料は低く、月給は最高でも5万ジンバブエ・ドル(約1万円)で、南アやルワンダなどに移住した教師もいる。

 一方、ジンバブエの旧宗主国である英国の教育省によると、同国の有資格の教師の月給は2300ポンド(約38万円)以上とされるが、教師不足に悩まされている。

 多数の教師が英国に流出すれば、既に不安定化している教育制度が立ち行かなくなると危惧する声も上がっている。

 近年、ジンバブエから医師や看護師が国外流出している事態を阻止するため、政府は資格証明書の入手手続きを複雑化しているが、的外れな対策との批判もある。

 野党のヘンリー・マゾレラ(Henry Madzorera)元保健相はAFPに対し、「頭脳流出を食い止めるため、政府は専門職の給料を上げるのを優先すべきだ」と述べた。

 ジンバブエの保健監視機関が発表した最新の統計によると、11月までの1年間で4000人以上の医療従事者が公立機関を退職し、その多くが国外移住したとみられている。(c)AFP/Kudzanai Musengi