【11月5日 AFP】フランスの国民議会(下院)は4日、黒人議員の演説中に「アフリカに帰れ」と議場でやじを飛ばした極右「国民連合(RN)」所属の議員に対し、15日間の登院停止と議員報酬半減という異例の処罰を賛成多数で決定した。発言は超党派で非難を呼んでいた。

 左派「不屈のフランス」所属のカルロス・マルテン・ビロンゴ(Carlos Martens Bilongo)議員が3日、仏NGO「SOSメディテラネ(SOS Mediterranee)」が海上で234人の移民を救助した船の寄港先を確保するよう求めていることを受け、代表質問を行っていたところ、「アフリカに帰れ!」と国民連合の新人議員グレゴワール・ドフルナス(Gregoire de Fournas)氏がやじを飛ばし、議場は騒然とした。

 ドフルナス氏は、特定の個人への人種差別ではなく、地中海で救助される不法移民に対する発言だったと弁明した。

 今回の処罰は、議場での議員の言論の自由を広く認める議会規則の中では最も重い。1958年に当時のシャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)首相が樹立した第五共和制史上、議員がこうした処罰を受けるのは2度目。

 ドフルナス氏の発言は誰を対象にしたか明確ではないが、ヤエル・ブロンピベ(Yael Braun-Pivet)議長は採決後、「人種差別は、その対象が何であれ、議会でわれわれを一つにしている共和国の価値観に反している」と述べた。(c)AFP/Adrien DE CALAN and Joseph SCHMID