【2月8日 AFP】事故で下半身不随になった患者3人に、新開発の脊髄インプラントを埋め込んだところ、再び歩けるようになったとする研究論文が7日、医学誌ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)に掲載された。脳波に似せた電気刺激を筋肉に送る仕組みで、重度の脊髄損傷患者の再起に道を開く可能性がある。

 脊髄損傷患者の治療に電気刺激を使う取り組みは長年にわたり研究が進められている。今回の研究を行ったスイス連邦工科大学(Swiss Federal Institute of Technology)などのチームは2018年にも、下半身が一部まひした被験者が再び歩行できるようになることを実証していた。

 今回、患者3人はいずれも長さ6センチのインプラントを装着。電気信号を調整した後、すぐに歩行が可能になった。電気信号は、患者が携行する端末を通じて操作される。

 そのうちの一人の男性は、17年にバイク事故が元で下半身不随になったが、20年にインプラントを装着したところ、再び歩けるようになった。メディアに対し、初めて電気刺激を受けて一歩を踏み出せた時は「とても感動的だった」と語っている。

 当初は上半身の筋力や手すりによる補助が必要だったが、リハビリを直ちに開始。4か月後にはバランスを取るための歩行補助器を使って歩けるようになった。今では2時間立つことができ、1キロ近く休まずに歩けるという。

 3人とも階段を上がったり、泳いだり、カヌーをこいだりできるようになっている。(c)AFP/Sara HUSSEIN