【2月4日 AFP】米製薬大手ファイザー(Pfizer)と独製薬ベンチャーのビオンテック(BioNTech)が共同開発した新型コロナウイルスワクチンは、同ワクチンの接種を大々的に進めているイスラエルの初期データを見る限り、重症化を抑制しているものの、感染拡大の抑制や集団免疫の獲得に向けた進展に関する効果は未知数だとの考えを複数の専門家が示している。

 イスラエルで新型コロナウイルスワクチンに関する専門家パネルの議長を務めるラン・バリサー(Ran Balicer)氏はAFPに対し、ワクチンには二つの効果があり、それらを区別して考えることが重要だと指摘。一つ目は、ワクチンを接種した人が「発症せず、重症化しない」という「直接的な効果」で、二つ目は、ワクチンによって十分な数の人に十分な免疫ができ、感染に対する「疫学的な障壁」が形成される「間接的な効果」だと述べた。

 バリサー氏は、ワクチンが重症化を抑制していることを示すデータはあるが、感染に関する効果については未知数だと述べた。

 イスラエル・ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)の公衆衛生問題の専門家、ガビ・バーバッシュ(Gabi Barbash)氏も同じ見方を示す。

「(ファイザーのワクチンによって)重症化するケースが減ってきていることは分かっているが(今のところは)それだけだ」とAFPに話し、「感染が最小限に抑えられているかどうかは分からない」と続けた。

 多くの国がワクチンの入手に苦慮する中、イスラエルは昨年12月にワクチン接種を開始して目覚ましい進展を見せている。これまでに人口900万人のうち約35%が2回の接種が推奨されているファイザーのワクチンの1回目の接種を受け、主に60歳以上の約180万人は2回目の接種も済ませている。(c)AFP/Guillaume Lavallee and Ben Simon