「ワクチン囲い込み繰り返してはならない」 WHOが警鐘
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【1月30日 AFP】世界保健機関(WHO)は29日、新型コロナウイルスが流行する中、富裕国が医薬品やワクチンを囲い込んだ過去の失敗を繰り返してはならず、そうした行為は世界的な大流行を長引かせるだけだと警告した。
WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、富裕国の間で新型ウイルスの多様なワクチンを大量確保しようと争いが起きているが、貧困国にはほとんどワクチンが届いていないと非難した。
テドロス氏は記者団に対し、「パンデミック(世界的な大流行)は世界の不平等を顕在化させ、これにつけ込んできた」と指摘。「パンデミックの収束に役立つツールであるワクチンが、この不平等を悪化させる恐れがある」と警告した。
「ワクチン国家主義は短期的な政治目的にかなうかもしれない。だが、長期的には近視眼的で自国を傷つける」とテドロス氏は述べた。
WHOは、ワクチンの確実で公正な分配を目指す国際プログラム「COVAXファシリティ(COVAX Global Vaccine Facility)」を共同で主導している。同プログラムは数週間以内にワクチンの分配を開始する予定で、テドロス氏によると、2021年の最初の100日以内にすべての国で医療従事者と高齢者へのワクチン接種を実施することを目指している。(c)AFP/Nina LARSON