【9月29日 AFP】ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は28日、党の広報を長く務めるクリスチャン・リュート(Christian Lueth)氏が、銃や毒ガスによる移民殺害について語ったとの報道を受け、同氏を「即時解任」した。

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 反イスラム、反移民を掲げる連邦議会最大野党、AfDはAFPの取材に対し、扇動的な発言をしたことが発覚したリュート氏を「即時解任」したと語った。

 独ニュースサイト「ツァイト・オンライン(Zeit Online)」は、リュート氏が今年2月、動画共有サイト・ユーチューブ(YouTube)で報道活動を行う右派寄りの記者と会見した際、民間放送局がひそかに撮影していた会話の内容を報じていた。

 その中でリュート氏は、2015~16年の難民流入で100万人以上の亡命希望者を受け入れたドイツに「さらに多くの移民」がやって来ていることは、AfDにとって政治的利益になるので歓迎すると述べた上で、「受け入れてからでも、彼ら全員を射殺することができる。それは問題ではない」「毒ガスでも何でも好きな方法で殺せ。何でもいい」と発言したとされる。

 衛星テレビ局プロジーベン(ProSieben)によると、リュート氏はAfDに協力するようこの記者を説得し、「ドイツが悪事を働くほど、AfDにとっては都合が良い」と語ったという。

 この会見の2か月後の4月、リュート氏はファシストを自称し、「アーリア人の祖父」を称賛したことで党から停職処分を受けたと報じられた。週刊紙ツァイト(Die Zeit)は、リュート氏の祖父は第2次世界大戦(World War II)中に潜水艦の艦長を務め、ナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)から鉄十字章を授与されたと伝えている。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は任期満了での退任を表明しているため、来年の総選挙でその後継者が決まるが、AfDの支持率はドイツで移民問題が緊急性を失うに従い低下し、現時点では約11%となっている。(c)AFP