中国で「インターネットを使ったことがない」高齢者が2億人に 外出や買い物すら困難に
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【9月19日 CNS】中国で60歳以上の高齢者のうち8割近い2億人が、2019年の1年間に一度もインターネットを利用したことがない-。最近発表された「中国のインターネット発展に関する統計リポート」で、この調査結果が社会の注目を集めた。多くの人の暮らしを便利にさせているデジタル化の波は、高齢者にとっては生活と移動に不便をもたらす荒波となっている。
モバイル決済、配車サービス、オンラインチケット購入、インターネット診療予約…。生活インフラのIT化が進んだ結果、一部の駅では窓口での乗車券販売を中止し、路上でタクシーを拾うことが困難となったため、「IT弱者」にとっては外出もおぼつかなくなった。病院の待合室で半日待ったあげく、「予約患者で今日の診療は終了」と言われることも。新型コロナウイルス感染症の拡大以降は接触リスクを減らすため、現金の受け渡しは断られ、買い物の支払いすら難くなった。中国では新型コロナ拡大以降、健康状態を色で示す「健康コード」のアプリをスマートフォンに取り込み、外出先で自分が感染していないことを証明する必要がある。一部の高齢者は「健康コード」を使う方法が分からず、交通機関を利用することも困難だ。中国の発展に貢献してきた世代が、さらに進化を続ける社会の中で途方に暮れている。
中国の60歳以上の人口は2019年末で2億5400万人に達し、総人口の18.1%を占めている。 2050年には総人口の約35%の約5億人に達すると予測されている。
中国の高齢者事情をまとめた「高齢青書2019」によると、小学校しか通っていない、もしくは小学校も通っていない高齢者は全体の70%を超え、大学に進学した人はわずか3.1%だった。青書によると、教育水準と現在の生活には直接的な影響がある。教育水準が低い高齢者は情報の獲得や電子機器の利用が難しいため、社会から排除されやすく、生活の質が下がる可能性が高いという。
北京大学(Peking University)社会学博士で高齢化社会を研究している鄭志剛(Zheng Zhigang)氏は「今の社会は若者層、高学歴層が中心の仕組みになっている。高齢者がデジタル化時代に対応するため、多くのサポートが必要だ」と指摘。まずは政府が主導して専門的施策を図ること。次に企業や研究機関が高齢者向けの製品を開発すること。第三には、高齢者が情報技術を教わり、実践できる場を社会全体で設けること。第四は、家族と高齢者の関わりを強化すること-としている。(c)CNS/JCM/AFPBB News