【10月9日 AFP】フランスの極右政党「国民連合(RN)」(旧「国民戦線」)のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)党首は9日、欧州での活動を活発化させているドナルド・トランプ(Donald Trump)米政権の元首席戦略官・上級顧問、スティーブ・バノン(Steve Bannon)氏について「欧州を救う」のは米国人にはできないと述べ、距離を置く姿勢を示した。

 バノン氏はここ数か月、欧州の右派ポピュリズム運動を活気づけるべくブリュッセルに設立を計画する財団「ザ・ムーブメント(The Movement)」の売り込みのため、欧州で露出を増やしている。

 しかし、訪問先のローマでイタリアの極右政党「同盟(The League)」を率いるマッテオ・サルビーニ(Matteo Salvini)内相と共同記者会見を開いたルペン氏は、「バノン氏は欧州人ではない。彼は米国人だ」と指摘。「欧州の選挙結果によって政治勢力となるのはわれわれ(欧州人)であり、われわれだけだ」と強調した。

 ルペン氏やサルビーニ氏ら反移民政策を掲げる欧州の極右勢力は、来年5月に予定される欧州議会選で政治会派の均衡を突き崩すことを目指している。ルペン氏は「欧州のさまざまな人々を代表し、欧州を救うための政治勢力を構成しているのはわれわれだ。この点ははっきりさせておきたい」と語った。

 RN周辺では、ルイ・アリオ(Louis Aliot)副党首が最近、同党は「必ず」バノン氏の財団に加わるだろうと発言。一方で、バノン氏が右派の新星と呼ぶルペン氏のめい、マリオン・マレシャルルペン(Marion Marechal-Le Pen)氏は「(バノン氏の)プロジェクトを形にするのは難しい」と述べるなど、反応が分かれている。

 ルペン氏は昨年のフランス大統領選で決選投票に駒を進めたものの、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)氏に大敗。その後、党名を変更するなど自党のイメージ刷新に努めている。(c)AFP