【3月30日 AFP】ノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さん(20)が29日、2012年にイスラム武装勢力による銃撃事件後初めて戻った母国パキスタンで演説し、帰国を「ずっと夢見ていた」と涙ながらに語った。

 マララさんは2012年10月、イスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」による襲撃で頭を撃たれ、英国に空路搬送されていた。

 演説はパキスタンの首都イスラマバードにある首相官邸で行われ、テレビ中継された。マララさんは故郷のスワト渓谷(Swat Valley)の美しさや、英ロンドンや米ニューヨークでパキスタンの街を思い描いたことを語り、感情を抑えきれずに言葉をとめ、涙を流した。

 マララさんは「パキスタンを訪れることを、そして、パキスタンの街中を安らかに、何も恐れることなく歩き、人と会い、会話ができることを、いつも夢見てきました」「私は懐かしい故郷に帰ってきたのです……。本当に帰ってきたのです」と語り、「すべての皆さんに感謝します」と表明。さらに「自分はあまり泣かないのに、きょうはなぜか分かりません」と話した。

 マララさんは予告なく、厳重な警備体制の下で夜のうちに両親と共にパキスタン入りしていた。朝になって帰国を知った同国の人々はソーシャルメディアに相次ぎ歓迎のメッセージを寄せたが、マララさんが国内の不和扇動を企てていると批判する声も上がっている。

 マララさんは世界的な女子教育の象徴として国際社会で広く尊敬を集める一方、パキスタン国内では評価が分かれ、一部の保守派からは、母国をおとしめる任務を負った欧米の手先と見なされている。(c)AFP/Nasir JAFFRY