【10月17日 AFP】メキシコの刑務所を7月に脱獄した麻薬王「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者(58)が最近、メキシコ北部での警察の捜査で再逮捕を逃れたものの、脚と顔にけがをしたことが同国政府の16日の発表で明らかになった。

 当局によると、複数の外国政府の情報提供により、7月11日に脱獄したグスマン受刑者の捜索はここ数週間、同国北西部に焦点があてられていた。また政府は声明で「情報によると、これまでの捜索で、脱獄犯は逮捕を逃れるために急いで逃げようとして脚と顔を負傷した」と発表した。負傷の程度については明確にされていない。

 また政府は捜索が行われた場所についても明らかにしていないが、14日に北西部シナロア(Sinaloa)州の知事が、隣のドゥランゴ(Durango)州で特殊部隊が作戦を実行していると語っていた。

 米麻薬取締局(Drug Enforcement AdministrationDEA)はAFPの取材に対し、グスマン受刑者は脱獄後、自らの出身地であるシナロア州の山岳部深くに潜伏しているとの見方を示した。同州とドゥランゴ州、チワワ(Chihuahua)州が接する地域は「黄金の三角地帯(Gold Triangle)」と呼ばれる麻薬の生産地で、グスマン受刑者の密売組織の拠点でもある。

 一方、米NBCニュースは、米麻薬取締捜査官らがシエラ・マドレ(Sierra Madre)山地のシナロア州コサラ(Cosala)に近い農場にグスマン受刑者が潜伏していることを示唆する携帯電話の信号を傍受し、メキシコの海兵隊が先週、同受刑者の身柄確保に迫ったと報じた。海兵隊はヘリコプターで農場を急襲したが、グスマン受刑者の武装組織に反撃されいったん退却し、後に地上部隊を送ったが、グスマン受刑者らはすでに逃走したとみられ、携帯電話、医薬品、無線機しか見つからなかった。(c)AFP/Laurent THOMET