象牙の違法取引、DNA解析で取り締まり強化
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【6月19日 AFP】押収された象牙のDNAを調べ、ゾウの糞から採取したDNAと照合することで、大規模密輸の出荷元を突き止めることに成功したと、米ワシントン大学(University of Washington)などの研究チームが成功した。
研究によると、アフリカのタンザニア南部とモザンビーク北部が密輸象牙の二大産地となっており、ゾウの密猟は大半がこの2地域で行われているという。専門家らは、この手法によって野生生物犯罪の取締りが可能になると期待している。
ゾウは年間およそ5万頭が密猟で殺されており、押収される象牙は年40~50トンに上っている。
ワシントン大のサミュエル・ワッサー(Samuel Wasser)氏は、「国境を越えた大規模な組織犯罪だ」と述べた。「主要な密猟地域を特定することで、違法取引に加担している国々が関与を否定できなくなる。また、国際社会はこうした国々と協力して違法取引を阻止し、密輸網への象牙の供給を絶つことが可能になる」
研究では、1996~2014年に押収された象牙28本を分析。また、 アフリカ29か国・71か所でサバンナゾウと森林ゾウを含む1350頭から糞を採取し、 そのDNAを象牙のDNAと照合し、それぞれの象牙の産地を示す地図を作成した
その結果、2007年以降については、サバンナゾウの象牙の大半はタンザニアとモザンビークから、 森林ゾウの象牙の大半はガボン、コンゴ共和国、中央アフリカ共和国から違法輸出されたものだと判明した。
これらの地域で密猟が盛んなことは、専門家らが以前から指摘していた。ただ、国際刑事警察機構(インターポール、Interpol、ICPO)のビル・クラーク(Bill Clark)顧問は、新手法によって国境をまたいだ複雑な違法取引を、要所で効果的に取り締まれるようになると説明している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN