米英仏が大使館閉鎖、民兵が政権掌握のイエメン 大規模デモも
このニュースをシェア
【2月12日 AFP】米英仏の各国政府は11日までに、イエメンの首都サヌア(Sanaa)にある自国の大使館を安全上の懸念から一時閉鎖した。米大使館職員らは、極秘文書を破棄した上で、空港で車両を乗り捨てるなど、あわただしく同国を去った。
長期にわたり米国と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)との戦いにおける前線となってきたイエメンでは、イスラム教シーア派(Shiite)系の民兵組織「フーシ(Huthis)」が昨年9月にサヌアを制圧したのに続き、先週に議会を解散させ政権を掌握するなど、混乱が拡大している。フーシの行動は、クーデターだとして広く批判を受けており、11日にはこれに反対する数千人が抗議活動を行った。
米政府は10日夜、「治安状況の悪化」を理由にサヌアにある大使館を閉鎖。オマーンの航空会社のジェット機をチャーターし、職員を同国の首都マスカット(Muscat)に退避させた。
米軍の海兵隊員はすでに全員が民間航空機で出国した。しかし米政府高官は、特殊部隊はイエメン国内に残っており、アルカイダとの戦闘を継続していると強調している。
国防総省のスティーブン・ウォレン(Steven Warren)報道官が記者らに明らかにしたところによると、海兵隊員らは退避する前に、所有していた重火器などを破壊した。また米海兵隊は声明で、携帯武器は大ハンマーで破壊され、イエメン当局に引き渡してはいないと説明した。
また、大使館の職員はAFPに対し、コンピューターや書類、電話、その他の取り扱いに注意が必要なものも破壊したことを明らかにした。さらに多数の車両がクレーンを使って破壊されたが、大使館職員らを退避させるために使用した車両約30台は、サヌア空港で民兵らに奪取された。
大使館の周辺ではその後、配置された民兵らの姿が確認されている。(c)AFP/Jamal al-Jabiri and Jo Biddle in Washington