【1月14日 AFP】週48時間を超えて働く人は、「危険な量」のアルコールを飲むようになる可能性が高いとの研究結果が13日、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)で発表された。

 40万人以上を対象とした研究により、長時間労働をする人は、アルコール摂取量が増加する傾向が11%高いことが分かったという。また、「危険なアルコール摂取」の習慣がつく可能性は、週35~40時間働く人に比べ、週49~54時間働く人では13%高く、週55時間以上働く人だと12%高かった。

「危険なアルコール摂取量」の定義は、女性なら1週間当たり14ユニット以上、男性では同21ユニット以上とされており、この量を飲むと肝臓疾患や心疾患、がん、発作や精神障害などの発症率が高まる可能性が指摘されている。1ユニットは、中程度の強さのビールであれば3分の1パイント、アルコール度数が12%の赤ワインであれば175ミリリットル入りグラスの半分、ウイスキーなら25ミリリットルに相当する。

 研究対象となったのは、ベルギー、英国、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、日本、ニュージーランド、スペイン、スウェーデン、台湾および米国の先進諸国。

 米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public HealthHSPH)のカサンドラ・オケチュク(Cassandra Okechukwu)氏は論説で、「長時間労働に従事する人たちは、アルコールが仕事に関係する痛みを和らげ、仕事と私生活の間をスムーズに移行するための手っ取り早く効果的な方法であると考えているのでは、という長年の疑念が、このメタ分析によって裏付けられた」と述べている。

 ただオケチュク氏は、働きすぎによって高まる「危険な」飲酒習慣のリスクは、絶対的に見た場合はまだ小さいと指摘している。また、仕事を持っている人は失業中の人に比べアルコール消費量が少なく、アルコール乱用から回復できる可能性も高い。

 それでも、この危険性は軽く見るべきではない。オケチュク氏は「避けることのできる疾患の増加や、健康を害する習慣につながる行為については、いかなるものでも注意深い検証が必要だ」「これらの研究結果を受け、公衆衛生機関の介入による労働時間のさらなる規制に弾みがつくかもしれない」と指摘している。(c)AFP