中国軍に新たなハッカー部隊、宇宙産業にサイバー攻撃か 米社
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【6月11日 AFP】米情報セキュリティー会社「クラウドストライク(Crowdstrike)」は9日、中国人民解放軍のハッカー部隊が、西側諸国の衛星通信や宇宙事業に関する機密情報を取得するため、偽の電子メールを送り付けるなどのサイバー攻撃を実施していたとする報告書を発表した。
米国は先月、サイバースパイ行為で中国軍の将校5人を初めて起訴したが、この報告書では、中国軍がさらに幅広いサイバー攻撃を実施していたことが指摘されている。
ゴルフ愛好家を標的としていたことから「パター・パンダ(Putter Panda)」と呼ばれるこのハッカー部隊は上海(Shanghai)を拠点とした「不屈の精神を持った敵対集団」で、遅くとも2007年からマイクロソフト・アウトルック(Microsoft Outlook)やアドビ・リーダー(Adobe Reader)といった広く普及しているソフトウエアに対する電子メール攻撃などを実施していたという。
同部隊の手口は、一見無害そうな名前のメールアドレス(例えば「[email protected]」など)から、偽の招待メールを送り、中に書かれたリンクをクリックさせることによってコンピューターシステムに侵入するというもの。仏トゥールーズ宇宙センター(Toulouse Space Center)の職員らに送られたある添付ファイルは、近くのヨガ教室のパンフレットを装ったものだった。
同部隊は「宇宙監視、遠隔探査そして衛星通信の傍受」を狙い、「防衛技術に関連した知的財産や産業秘密の取得」を試みていたとみられると、報告書は指摘している。
報告書は、上海北部の閘北(Zhabei)区の高層ビルを拠点とする人民解放軍の「61486部隊」をパター・パンダと関連づけている。
中国のハッカー部隊は、既に61398部隊がその名を知られている。米大陪審は先月、同部隊の将校5人を、中国の国営企業を利する目的で米企業のコンピューターに侵入し、米国の鉄鋼や太陽光発電などの業界で失業者の増加をもたらしたとして起訴し、中国側は激しく反発していた。(c)AFP