【5月21日 AFP】男子ゴルフの松山英樹(Hideki Matsuyama)は20日、都内の日本外国特派員協会(Foreign Correspondents' Club of JapanFCCJ)で記者会見し、米PGAツアーに挑戦して海外メジャータイトルの獲得に向けて取り組む準備はできていると語った。

 10代でアマチュアゴルフ界に旋風を巻き起こした松山は、2010年に19歳でアジアアマチュアゴルフ選手権(Asian Amateur Championships)を制し、翌年には連覇を達成したが、学生生活を優先させるためプロ転向には慎重な姿勢を貫いた。

 その後2013年4月にプロ転向を表明し、現在プロ1年目のシーズンを過ごしている松山は、国内ツアー4試合に出場して1勝、2位が2回という成績で賞金ランキング首位につけている。

 松山は同年代の石川遼(Ryo Ishikawa)と比較されることが多い。現在21歳の石川は16歳でプロデビューを果たし、今季から米国に主戦場を移したものの周囲が期待するほど存在感を発揮できないでいる。

 世界ランキングでは松山が80位に浮上して石川の114位を上回っており、日本人選手では藤田寛之(Hiroyuki Fujita)に次いで2番手につけている。そんな松山は、一刻も早く米ツアーに参戦したいという希望を口にした。

 第81回日本プロゴルフ選手権大会(81st Japan PGA Championship)を金亨成(Kim Hyung-Sung、キム・ヒョンソン)に次ぐ2位タイで終えた松山は翌日の会見で、「米国には早めに行きたいという気持ちが強い」と語った。

「(石川)遼が今年行って、今週(HPバイロンネルソン選手権(HP Byron Nelson Championship 2013))は10位だったみたいですけど、シーズンの最初に苦しんでいたのを見て、日本との環境の差がやっぱりあるのかなと。そういう難しい場所で技術を磨きたい」

 松山は2010年のアジアアマチュアゴルフ選手権の優勝特典として第75回マスターズ・トーナメント(The Masters Tournament 2011)出場権を獲得し、日本人アマとして史上初の同大会出場を果たした。

 そのオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ(Augusta National Golf Club)では27位タイという成績でローアマチュアの証であるシルバーカップを獲得。さらに2011年のアジアアマチュアで連覇を達成すると、2年連続2度目のマスターズ(The Masters Tournament 2012)では54位タイに入った。

 プロ入りの誘惑が過熱する中、松山は大学時代のキャリアがゴルファーとしての向上につながるというコーチの進言を守ってプロ転向の時機を待った。そしてこれ以上ないほどの自信を掴んだ松山は今、海外メジャー制覇も視野に入れている。

 松山は、「(メジャーで)勝てる要素はある。マスターズではラフがほとんどなくてグリーンが硬くて速い。正直ティーショットは曲がっていいから、その他を極めれば勝てると思っています」とコメントした。

 さらに2011年に発生し、多数の犠牲者を出した東日本大震災、そして世界最大規模にまで発展した福島第一原発事故は、キャリアを追う自分に影響を与え続けていたという。

「自分が頑張れば人を勇気づけることができると初めて知り、ゴルフを続けていく中で忘れてはいけないことだと感じた」

 松山は3月に行われた第142回全英オープン(The 142nd Open Championship)アジア地区最終予選会を2位で突破し、本大会出場を決めている。また、今月27日に行われる第113回全米オープン選手権(2013 US Open Championship)日本地区最終予選に出場し、6月13日に開幕する本選出場を目指す。(c)AFP/Shigemi Sato