【10月3日 AFP】フランス・パリ(Paris)で2年に1度開催されるパリ・モーターショー(Paris Motor Show)が、9月27日から10月14日までの日程で開かれている。今年は幾つかの大手メーカーが会社存続の鍵と位置づける欧州の自動車市場に暗雲が垂れ込め、自動車業界が「危機対応モード」にシフトした中での開催となった。

 欧州の債務危機とそれに続く経済成長の低迷によって多くの自動車メーカーは深刻な打撃を受け、来年の見通しも暗い。

 仏プジョー・シトロエン(PSA Peugeot Citroen)グループのフィリップ・バラン(Philippe Varin)会長は、同社の売上高でかなりの部分を占めている欧州市場の来年の成長率は「ほぼ0%」あるいは「わずかにマイナス」になるという見通しを示した。

 またバラン氏は今年の欧州市場は8.0%のマイナス成長になるとの予想を示すとともに、「1台の生産につき350ユーロ(約3万5000円)の営業赤字になった。競合他社には500~600ユーロ(約5万~6万円)の赤字になったところもある」と述べた。

 フランス最大手のプジョー・シトロエンは欧州では独フォルクスワーゲン(Volkswagen)グループに次ぐ2番目の規模を誇る。だが業績の悪化を受け、パリの北にある主要工場の閉鎖とフランス国内で8000人の人員削減を決めた。

 仏政府が指名した専門家は、プジョー・シトロエンの経営悪化の主な原因は過去20年間に積み重ねられた戦略上の誤り、特にグローバル化がもたらした機会を生かせなかったことだと分析し、早急な事業再編と世界的な大手グループとの提携が必要だと結論した。

 仏ルノー(Renault)のカルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)会長兼最高経営責任者(CEO)も、市場シェアを高級車に強い独メーカーと東欧で生産した低価格車でニッチ市場に切り込んでくるアジアのメーカーに奪われる中価格帯の自動車メーカーとしての苦悩を語っている。

「現在、当社の主要課題、最優先事項はフランスにおける競争力で、これは企業の存続に関わる問題だ」(ゴーン会長)

 ドイツを中心に欧州で約6万6000人の従業員を抱える米フォード(Ford)は、希望退職を募り欧州で数百人の人員削減を計画していると発表した。同社は「現在のビジネス環境における欧州での効率を高めるため」と説明している。

 縮小する欧州経済と膨大な過剰生産能力への対応策として、欧州で事業を展開する大手自動車メーカーは全て人員削減を打ち出している。

 欧州自動車工業会(ACEA)によれば、2012年1~8月の欧州連合(EU)での新車販売台数は、前年同期比で7.1%減少した。(c)AFP/Abhik Kumar Chanda