アラブ女性たちに「セックスの喜び」を指南する愛の伝道師、UAE
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【2月14日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)の愛の伝道師、ウィダッド・ローター(Widad Lootah)さんは、どこにでもいそうな結婚カウンセラーではない。目の部分にスリットが入った黒いベールで顔をすっぽりと覆った超保守的なイスラム教徒で、コーランの章句を引用しながら性愛について大いに語る。
バレンタインデーを前に、ローターさんはイスラム教徒の女性とアラブの女性たちに、「愛とセックスを喜んで受け入れなさい」と説いている。AFPの取材に対し、「恥ずかしがってはいけません。楽しまなければならないのです。そうするようにできているのですから・・・わたしは、イスラム世界のセックスは単に子供をもうけるだけのものという世間一般的な誤解を改めたいのです」と答えた。
彼女は、ドバイ(Dubai)の裁判所で11年間結婚カウンセラーをやってきた経験から、「ベッドの上で起きること(あるいは起きないこと)」が、結婚生活の最大の障害になっていると実感している。性にまつわるタブーが同国の高い離婚率の原因にもなっていると考える。「健康的な性生活は幸せな結婚の大前提となるものです」と、ローターさん。
保守的なイスラム世界では、セックスについての議論は依然としてタブー視されているが、これはイスラム教の考え方に矛盾するとローターさんは言う。彼女によれば、イスラム教はセックスに関しては婚前交渉の禁止とアナルセックスの禁止という2つのルールしか定めていない。つまり、それ以外のことなら、へそより下での濃厚な性的行為も含め、どんな事でも許されているのだという。「互いを感じ合い、触れ合い、体中をキスし合う・・・すべてOKなのです」
問題は、アラブ世界では性の喜びが「恥ずかしいこと」、あるいは「はしたないこと」に、分かちがたく結び付いていることだと、ローターさんは考える。
■セックス指南書が反感、殺害予告も
ローターさんはセックスの議論をオープンに行うことにこだわっているが、そのような姿勢にはリスクが伴う。彼女は2009年に、イスラム教徒の夫婦に向けたセックス指南書『Top Secret: Sexual Guidance for Married Couples』を出版したが、同書とマスコミ取材に対する彼女の発言は多くの批判を招いただけでなく、脅迫状や殺害予告も寄せられてきた。「国家の反逆者、またはイスラエルとアメリカのスパイだと言ってくる人もいました」と、ローターさん。
彼女はそれでも信念を曲げない。国内のすべての学校に性教育を導入するよう、政府に対し精力的にロビー活動も展開している。
ローターさんは近々、2冊目の本『Top Secret Volume Two』を出版したい考えだ。相変わらずセックストークが紙面の多くを割いているが、今回はイスラム教で禁じられている同性愛と、同性愛が結婚制度に及ぼす影響に焦点を当てているという。
■「ぜひ、愛を経験してください」
イスラム世界の愛とセックスの大義のため、これほどまでに一生懸命になる理由は何なのか。ローターさんはAFP記者に、「女性たちの権利のためです」と答えた。「何から何まで解決することはできません。でも、アラブ世界で(セックスと結婚生活における)女性の役割を修正することはできると思っています」
バレンタインデーについて意見を尋ねると、「イスラム教は非イスラムの祝い事を禁じています」と最初はお堅い言葉が返って来たが、「バレンタインデーが他人への愛を表明する日と考えるなら、(祝っても)いいんじゃないでしょうか。反対はしませんよ」と続け、すぐさま、「でももしそうなら毎日をバレンタインデーにしなければね」と加えた。
AFP記者が「最後に何かアドバイスを」と問いかけると、ローターさんは優しく答えた。「愛を経験してください。結婚の前でも問題ありません。ただし、イスラム教が禁じることは決してやらないように」
(c)AFP/Lara Sukhtian
バレンタインデーを前に、ローターさんはイスラム教徒の女性とアラブの女性たちに、「愛とセックスを喜んで受け入れなさい」と説いている。AFPの取材に対し、「恥ずかしがってはいけません。楽しまなければならないのです。そうするようにできているのですから・・・わたしは、イスラム世界のセックスは単に子供をもうけるだけのものという世間一般的な誤解を改めたいのです」と答えた。
彼女は、ドバイ(Dubai)の裁判所で11年間結婚カウンセラーをやってきた経験から、「ベッドの上で起きること(あるいは起きないこと)」が、結婚生活の最大の障害になっていると実感している。性にまつわるタブーが同国の高い離婚率の原因にもなっていると考える。「健康的な性生活は幸せな結婚の大前提となるものです」と、ローターさん。
保守的なイスラム世界では、セックスについての議論は依然としてタブー視されているが、これはイスラム教の考え方に矛盾するとローターさんは言う。彼女によれば、イスラム教はセックスに関しては婚前交渉の禁止とアナルセックスの禁止という2つのルールしか定めていない。つまり、それ以外のことなら、へそより下での濃厚な性的行為も含め、どんな事でも許されているのだという。「互いを感じ合い、触れ合い、体中をキスし合う・・・すべてOKなのです」
問題は、アラブ世界では性の喜びが「恥ずかしいこと」、あるいは「はしたないこと」に、分かちがたく結び付いていることだと、ローターさんは考える。
■セックス指南書が反感、殺害予告も
ローターさんはセックスの議論をオープンに行うことにこだわっているが、そのような姿勢にはリスクが伴う。彼女は2009年に、イスラム教徒の夫婦に向けたセックス指南書『Top Secret: Sexual Guidance for Married Couples』を出版したが、同書とマスコミ取材に対する彼女の発言は多くの批判を招いただけでなく、脅迫状や殺害予告も寄せられてきた。「国家の反逆者、またはイスラエルとアメリカのスパイだと言ってくる人もいました」と、ローターさん。
彼女はそれでも信念を曲げない。国内のすべての学校に性教育を導入するよう、政府に対し精力的にロビー活動も展開している。
ローターさんは近々、2冊目の本『Top Secret Volume Two』を出版したい考えだ。相変わらずセックストークが紙面の多くを割いているが、今回はイスラム教で禁じられている同性愛と、同性愛が結婚制度に及ぼす影響に焦点を当てているという。
■「ぜひ、愛を経験してください」
イスラム世界の愛とセックスの大義のため、これほどまでに一生懸命になる理由は何なのか。ローターさんはAFP記者に、「女性たちの権利のためです」と答えた。「何から何まで解決することはできません。でも、アラブ世界で(セックスと結婚生活における)女性の役割を修正することはできると思っています」
バレンタインデーについて意見を尋ねると、「イスラム教は非イスラムの祝い事を禁じています」と最初はお堅い言葉が返って来たが、「バレンタインデーが他人への愛を表明する日と考えるなら、(祝っても)いいんじゃないでしょうか。反対はしませんよ」と続け、すぐさま、「でももしそうなら毎日をバレンタインデーにしなければね」と加えた。
AFP記者が「最後に何かアドバイスを」と問いかけると、ローターさんは優しく答えた。「愛を経験してください。結婚の前でも問題ありません。ただし、イスラム教が禁じることは決してやらないように」
(c)AFP/Lara Sukhtian