【12月22日 AFP】アバヤやベールといった伝統衣装の下にイスラム女性が身に着けているのは、欧米の女性たちと同じくらいきわどいランジェリーのようだ。

 カナダの下着小売大手ラヴィアンローズ(La Vie en Rose)は、イスラム女性の間で意外にも、フリルなどで飾られたセクシーなランジェリーの人気が高いことに気付き、アラブ諸国での事業拡大を計画している。

 中でもサウジアラビアの女性は「非常にファッション・コンシャスだ」と、同社のリュック・ポワリエ(Luc Poirier)副社長は語る。「(欧米と比べて)唯一、違いが目立つのはナイトガウンだ。イスラム諸国向けのほうが長く、膝丈まである」

 モントリオール(Montreal)に本社をおく同社の年商は1億5000万カナダドル(約114億円)。その10%は、中東のサウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウェート、レバノン、ヨルダン、エジプトから、北アフリカのアルジェリア、モロッコ、中央アジアのカザフスタンにわたる広い範囲のイスラム諸国にある55店舗が稼ぎ出している。

■「アラブの春」受けて出店攻勢

 同社は、今後数年間の国際展開の一環として、中東諸国の店舗をさらに増やす計画だ。今年の「アラブの春」による政治情勢の変化と、サウジアラビアのレジャー・エンターテイメント大手アル・ホケイル(Al Hokair)グループの協力を得たことでこの動きに弾みがついている。

 サウジアラビアは、セクシーで女性らしさを全面に打ち出した下着には厳しいマーケットのように思える。イスラム教や部族ごとの服装に関する厳格で保守的な慣習はいまも守られており、公の場で女性が肌を見せることは禁じられ、下着の広告などはご法度だ。また店員として働くことが許されているのは男性だけで、店頭には女性がランジェリーを試着できる部屋など一切ない。

 しかし、ポワリエ副社長は、変化はこれからだと期待する。サウジアラビアでは女性の参政権が認められ、まもなく女性が地方選挙に参加するようになる。女性が働くことが許される職業の幅ももっと広がり、その中には小売業も含まれるだろう。つまり顧客の大半が女性のラヴィアンローズが、サウジアラビアの店舗で女性店員を雇える日もそう遠くないだろう。

 同社は韓国とチュニジアに次の店舗をオープンする予定だ。

 チュニジアでは果物売りの青年が警察の腐敗と不当に抗議するために焼身自殺し、これが今年各地に広がった「アラブの春」のきっかけとなった(c)AFP