【5706】伝心 凛 純米大吟醸 air of the brewery(でんしん りん)【福井県】
【B居酒屋にて 全6回の②】
2週間ほど前、B居酒屋で飲み会があった。そのとき冷蔵庫を見たら、まだ飲んだことがないお酒がいくつか鎮座していた。で、これらを飲むため後日、あらためてB居酒屋の暖簾をくぐった。
まず選んだのが「紀土 純米吟醸 しぼりたて 生」。続いていただいたのは「伝心 凛 純米大吟醸 air of the brewery」だった。この蔵のお酒は当連載でこれまで、「一本義」4種類、「伝心」2種類を取り上げている。さて、いただいてみる。
グラスに注いだとき、華やかなメロン香が漂ってくる。「お~~っ、香る、香る」と心の中で言う。近年、これほど香るお酒は珍しい。味わいは、旨みがまず来る。続いて辛みと苦みが来る。酸はあまり出て来ないが、3口目あたりから、酸は奥にほんのかすかに感じる。さらりとしたやや軽快な口当たり。芳醇だが、くどくない酒質。味の主体は旨み、辛み、苦み。
クラシックタイプの、ボディーはミディアムとライトの中間あたり。あるいは薫酒・醇酒・爽酒が一緒になったようなタイプ。あるいは淡麗辛口酒。
蔵のホームページはこのお酒を以下のように紹介している。
「奥越前固有の希少酒米『越の雫』を全量使用した、通年伝心シリーズの最上級酒。
厳冬の酒造り、凜と張り詰めた空気の下で生まれるこの酒には、個別呼称として『凜』という名を付けました。
白桃やライチを思わせる甘い香りの初感。みずみずしい口中感、そして続く旨苦味が辛口のキレとなり、後口をまとめます。
この酒のペアリングの鍵は、塩味と油(脂)。和牛タタキなどの牛肉料理との相性がとても良いです。チーズとの相性も非常によく、なかでもミモレットとの食べ合わせはオススメ、酒の苦旨味が口中をきれいにウォッシュしてくれます」
裏ラベルのスペック表示は「精米歩合45%、アルコール分17度、原材料名 米(国産)米麹(国産米)、製造年月24.06」にとどまり、使用米の品種名が非開示なのは残念だが、蔵のホームページは「原料米 (麹米):越の雫 (掛米):越の雫」と開示している。
「越の雫」は、1988(昭和63)年に出願者のほ場(福井県大野市)で、「兵庫北錦」に「美山錦」を交配し、1990(平成2)年に選抜を行い、以後、育成と選抜を繰り返し品種を固定。2003年に品種登録された酒造好適米。
蔵のホームページは、この酒の受賞歴を以下のように紹介している。
「・インターナショナルワインチャレンジ銅賞2回 ・インターナショナルサケチャレンジ銀賞2回、銅賞1回 ・全米日本酒歓評会金賞1回 ・ワイングラスでおいしい日本酒アワード金賞1回 ・スローフードジャパン燗酒コンテスト金賞1回 ・Kura Master純米大吟醸部門金賞2回」。
酒名「伝心」の由来について、蔵のホームページは以前、以下のように紹介していた。
「人が面と向かい、話し合うだけでは心を通い合わせることが出来ない時、酒が一滴の魔法となって心を伝え、和を結ぶことが出来る。私たち日本人は、遥か昔からそんな知恵を大切に育んできたのだと思います。人が和を結び、人の輪が結ばれること願って醸した酒『伝心』。時に力強く、そよぐほどに優しく、包み込むほど穏やかに、そして凛として。四つの個性をお楽しみ下さい」
また、主銘柄「一本義」の由来について、日本の名酒事典は「“最高の真理、優れた悟りの智慧を極めた境地”という意味をもつ禅語の“第一義諦”からとられたものといわれる」と説明している。