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123 瀬戸内国際芸術祭2010
「瀬戸内国際芸術祭2010」は2010年7月19日〜10月31日まで行なわれた、瀬戸内海の島々に会場を展開した現代アートの国際展。これを鑑賞する「瀬戸内国際芸術祭ツアー」が同年10月22日〜24日の3日間「建築系ラジオ」主催で実施された。ツアー参加者は30数名で、船をチャーターして会場のある島々を巡った。行程は、22日に岡山駅に集合後、犬島、直島を見て、向島のゲストハウスで宿泊。23日は女木島、男木島、豊島を見て、小豆島で宿泊。24日は小豆島を見た後、高松市で現地解散した。参加者は北川啓介氏、五十嵐太郎氏をはじめとする建築系の専門家、彦坂尚嘉氏など美術系の専門家、大学生のみなさんなどバラエティに富んでいた。また、22日と23日は宿泊先で「建築系ラジオ」の収録が行なわれ、それぞれ興味深い話を聞くことができた。
訪れた島はどこも大勢の観客で賑わい、長い行列のため時間内に見ることのできない展示会場も少なくなかった。海上移動も、われわれは船をチャーターしたのではスムーズだったが、そうではない観客は船の待ち時間がだいぶ長かったようだ。しかし、アートイベントとしては大規模で予算のかかった立派なものであり、専門家も一般客も満足しているようだった。なかでも建築とアートが不可分に融合した「豊島美術館」は、コンセプトの面でも規模の面でも話題になり、ツアー中の「建築系ラジオ」の収録でも取り上げられた。
さて私の立場を説明すると、美術家を名乗ってはいるのだが、じつはこれまでアートや建築にはあまり興味を示してこなかった。というのも私が提唱する「非人称芸術」は、アーティストの意図を否定する「反芸術」的概念なのだ。だが私は自分の「反芸術」を検証するには、その「外部」であるアートや建築についてもっと知る必要があることに気づいた。そこで「反芸術」をさらに反転させた「反-反芸術」的態度によって、今回の「瀬戸内国際芸術祭2010」ツアーに参加したのだ。この場合の「反-反芸術」とは、皆が良いと思うアートを、自分も素直に良いと思いながら見るということで、今回の写真もそのつもりで撮影している。モノクロで撮影したのは、同様のコンセプト「反-反写真」によるものである。
今回の写真は私的な実験作だが、五十嵐太郎氏には「10+1 website」への寄贈公開を薦めていただき感謝している。
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pic テレジータ・フェルナンデス《ベネッセアートサイト・ベネッセハウスパーク》
pic 大竹伸朗+graf 《はいしゃ/舌上夢/ボッコン覗》
pic ジェームズ・ダーリング&レスリー・フォーウッド《ウォールワーク5 –カモ島からカモ神社へ–》
pic 眞壁陸二《男木島 路地壁画プロジェクトwallalley》
pic 北山善夫 《「誕生─性─生─死─家─男木島伝説」 》
pic 長蛇の列で入るのをあきらめた会場。盛況のためこのような作品も多かった。
pic 川島猛とドリームフレンズ 《「川島猛とドリームフレンズ」 》
pic 世界のギャラリーとスペシャルプロジェクト《福武ハウス2010》
pic 戸髙千世子 《Teshima sense〈豊島の気配〉》
pic 武蔵野美術大学わらアートチーム《Straw Art》
pic 安岐理加《島──人が島を夢想するとき 「森」「径」「泉」》
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