話題
枕草子「星は昴」に出てくる星が勢ぞろい 趣ある夜空見上げてみては
「星は、昴(すばる)。彦星。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし」。これは清少納言が書いた枕草子の一節です。実は、この枕草子に書かれた天体をいっぺんに見ることができるかもしれません。寒い季節になりましたが、夜空を見上げてみませんか。
「星は、昴。彦星。ゆふづつ。よばひ星、すこしをかし。尾だになからましかば、まいて」
これは、「春はあけぼの…」でおなじみの清少納が書いた「枕草子」の中で、星について書かれた段です。
現代語に訳すと、「星といえば、すばる。彦星。宵の明星。流れ星は、すこし趣がある。尻尾がなければなおいいのに」となります。
このように、この段には「すばる」「彦星」「宵の明星」「流れ星」の四つの天体が挙げられています。
すばるとは、おうし座のプレアデス星団のこと。肉眼では6つほど星が見えるので、江戸時代には「むつらぼし(六連星)」と呼ばれていたこともあったようです。双眼鏡では60〜70個もの恒星の集まりに見えます。
彦星はわし座のアルタイル、宵の明星は金星です。
「実はこの12月、特に13日〜15日にはそれらをいっぺんに見ることができる可能性があるんです」。神奈川県にある平塚市博物館の担当者が教えてくれました。
12月いっぱいは、暗くなってすぐの18時ごろには、南西の空に金星が見え、西の空にはアルタイルを見ることができます。
振り返った東の空には、すでにプレアデス星団(すばる)が昇っています。
つまり3天体が一気に見られるわけですが、13〜15日は「ふたご座流星群」の見ごろでもあるので、三つに加えて流れ星を見るチャンスが高まり、枕草子に出てくる天体が一気に見られるかもしれないということです。
担当者は「15日が満月ということもあり、月明かりがじゃまをしているのが難点ですが、清少納言が『をかし』とつづった星たちを見上げてみてください」と話しています。
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