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連載

#9 #コミュ力社会がしんどい

漢字が書けない…実は「書字障害」だった 大人になってわかった正体

「努力不足」責められた幼少期

漫画家・ゆめのさんは、思うように字が書けないことが、幼い頃からコンプレックスだったといいます。その要因が分かるまでの経緯について、描いてもらいました。
漫画家・ゆめのさんは、思うように字が書けないことが、幼い頃からコンプレックスだったといいます。その要因が分かるまでの経緯について、描いてもらいました。 出典: ゆめのさん提供

目次

漫画家のゆめのさん(ツイッター・@yumenonohibi)は、30代を迎えてから、発達障害であると分かりました。合わせて、発達障害の一種・学習障害(LD)にあたる、書字障害と思われる特性も判明したのです。大人になっても、漢字やひらがなが、思うように書けない……。そんな状況に陥り、たびたび恐怖感を抱いてきたといいます。幼い頃から抱える、生きづらさの本質について描いてもらいました。

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#アルビノ女子日記

文章は読めるのに、書けない

ゆめのさんは昨年秋、専門医院で「注意欠如多動性障害(ADHD)」と「自閉スペクトラム症(ASD)」の診断を受けました。そして確定的ではないものの、書字障害の傾向があるとも指摘されたのです。

この点については、心当たりがありました。文章は読めるし、読書も好きなのに、文字をうまく書くことが出来なかったからです。

小学校で習う漢字が思い浮かばず、スマホで検索する機会もしばしば。文章をまっすぐつづることも苦手です。また書類への記入時、「あ」と「な」を書き間違えるといった場面さえあります。

出典: ゆめのさん提供

漢字が覚えられず「病気かも」と心配

こうした状況には、幼少期から悩まされてきました。

例えば、小学生の頃のことです。授業中、漢字をノートに何度書き写しても、文字の形を記憶にとどめられません。同級生との間で、理解度の差がついてしまい、気落ちするのもたびたびでした。

「もしかして……何かの病気なのかもしれない」。心配のあまり母親に相談すると、予想外の言葉が返ってきました。

「そんなわけないでしょ! 勉強してないだけ」「ちゃんと勉強すれば誰だって書けるようになるの!」

不安に寄り添ってもらえず、ゆめのさんは自分を責めるばかりです。「書けない」ことへの劣等感は、成長後も彼女をさいなみました。

出典: ゆめのさん提供

望むのは「特性を明かせる社会」

学習障害には、計算や読字に関わるものなど、様々な類型があります。いずれもメカニズムには諸説あり、はっきりと分かっていません。脳機能の発達に問題があることが一因とも言われています。

こうした情報は近年、徐々に周知されてきました。学校の授業や定期試験などで、当事者の子どもにタブレットを支給し、学習に活用するケースも増えつつあります。

一方で、周囲から適切な理解や支援が得られず、大人になっても苦しむ人々は少なくありません。そのような状況が改善され、誰もが自らの特性を明かせる、生きやすい社会になってほしい。ゆめのさんは、そう願っています。

出典: ゆめのさん提供

「困難さに応じた工夫が認知されてほしい」

自らの困りごとを巡って、漫画を描いたゆめのさん。今回の内容について、次のように話しました。

「私のように、LDの傾向がありながら周囲に理解されず、大人になっても社会生活を送る上で、困難を感じている人は多いのではないかと思います」

「今後、もっと理解が進み、それぞれの困難さに応じた生活の工夫、学習の方法が認知されてほしい。そして私自身、それらについて知りたいと感じました」

  ◇
 

 


ゆめの:
マンガ家。著書に『心を病んだ父、神さまを信じる母』(イースト・プレス)。好きなことは寝ること。

【連載・#コミュ力社会がしんどい】
生きていれば、他人と関わることが怖いと思うことは、誰しもあるのではないでしょうか。クラスメートと会うだけで疲れる。アルバイト先になじめず、同僚から距離を置かれてしまう……。人付き合いは苦手だけれど、何とかうまく交わりたい。こじれた気持ちをほどくため、もがいてきた日々について、漫画家・ゆめのさんが描きます。毎月最終火曜日更新。(連載記事一覧はこちら

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