追悼、マルチェロ・ガンディーニ:“スーパーカーブーム”で脚光、自動車デザインの世界で鮮烈な存在感を放った鬼才

カーデザインの巨匠のひとりに挙げられるマルチェロ・ガンディーニが、2024年3月13日に85歳で亡くなった。日本を席巻した“スーパーカーブーム”以降、鮮烈な存在感を放っていた“作品”の数々を振り返る。
トリノの国立自動車博物館で自身がデザインしたクルマのモデルカーにサインをするマルチェロ・ガンディーニ。2019年1月に撮影。
トリノの国立自動車博物館で自身がデザインしたクルマのモデルカーにサインをするマルチェロ・ガンディーニ。2019年1月に撮影。Photograph:Stefano Guidi/LightRocket via Getty Images

カーデザインの巨匠のひとりに挙げられるマルチェロ・ガンディーニが、2024年3月13日(欧州時間)に85歳で亡くなった。カロッツェリア(自動車のデザインや試作などを請け負う企業)として有名だったベルトーネの元チーフデザイナーだったガンディーニは、1970年代後半のスーパーカーブームに人気を博したランボルギーニ「カウンタック」やランチア「ストラトス」などのデザインで知られている。

1960年代からイタリアでデザイナーとして活躍していたガンディーニが脚光を浴びたのは、1965年にベルトーネのチーフデザイナーに抜擢されてからだった。同じく巨匠のひとりであるジョルジェット・ジウジアーロの後任として、ランボルギーニ「ミウラ」などをデザインして世界に名を知らしめた。

2019年にイタリアで開催された回顧展で展示されていたガンディーニのスケッチ。Photograph: Stefano Guidi/LightRocket/Getty Images

その後、ランボルギーニ・カウンタックやランチア・ストラトスによって、スーパーカーブームが席巻した日本においても知名度を高めることになる。なかでもカウンタックは車高が極めて低いウェッジシェイプのデザインに加え、前方のヒンジで跳ね上がるシザーズドアを採用するなど、常識を打ち破ったデザインが特徴的だった。

一般向けの量産車としてはシトロエン「BX」を手がけたほか、ベルトーネ退社後にはルノー「5(サンク)」の2代目モデルやマセラティ「クアトロポルテ」の4代目モデルを手がけるなど、デザインの幅を広げていった。90年代以降は自動車以外のデザインも請け負うようになり、ランボルギーニやブガッティのデザインにもかかわったとされるが、“作品”としての彼のデザインを目にする機会は少なくなっていった。

ガンディーニが手がけたデザインは、初期のランボルギーニ・ミウラを除けばどれも直線の美しさを生かしたウェッジシェイプが基調になっている。世に送り出したクルマの総数こそ多くはないが、どれも記憶に残るような鮮烈な存在感を放ち、後のデザインに大きな影響を与えている。そんな鬼才として知られるガンディーニが手がけた主なクルマのデザインを、以下に写真で振り返っていこう。

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