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ABERLOUR 
A’BUNADH ALBA 
ORIGINAL CASK STRENGTH 
Batch No,007 
Cask type 1st fill Bourbon Barrel 
700ml 58.9%

評価:★★★★★★(6)

【ブラインド予想】
地域:スペイサイド
年数:12〜15年熟成程度
度数:55%程度
樽:バーボンバレル
蒸留所:グレングラント

香り:勢いのある華やかでオーキーなトップノート。アメリカンオーク由来の要素がしっかり感じられ、乾いた麦芽や微かにナッツ、酒質の素性の良さを感じる。

味:コクのある口当たり、しっかりと広がりがある味わいで、蜂蜜や麦芽風味からじわじわ黄色系フルーツ、加熱した林檎。
余韻はほろ苦くウッディ、華やか。若干のスパイスとひりつくような刺激を伴う長いフィニッシュ。

バーボン樽熟成のミドルエイジ、スペイサイドモルトときたらイメージするだろうキャラクターの一つ。
比較的若い原酒と思われるが、複数樽バッティング故か口当たりに柔らかさがあるのも特徴。また、酒質に厚みがあり、樽感に負けず甘みやコクを主張するところが、近年のライト化に反した古典的な作りとして好感が持てる。確かに、これなら濃いめのシェリー感が付与されてもちょうど良く仕上がるだろう。


2000年にファーストリリースが行われた、アベラワー・アブナック(アブーナ)。アベラワーの樽出し原酒をカスクストレングスでボトリングする、熟成樽へのこだわりを打ち出したスモールバッチリリースです。
アブナックといえばシェリー樽熟成原酒。長く10年熟成未満の比較的若いものをバッティングしたカスクストレングス仕様という位置付けでしたが、今回紹介する“アルバ”は、2020年ごろからリリースされ始めた、1st fill バーボン樽熟成のアブナックです。

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シェリー樽熟成のアベラワー・アブナックは80近いバッチまでリリースを重ねている人気のブランドですが、その香味は初期の頃と比べるとだいぶ異なってきています。
写真は比較的初期のバッチ、No,6。おそらく2002〜3年ごろのものでしょう。何が違うって色合いですね。最近のロットが手元にある方は、是非写真のものと比較してみてください。明らかにシェリー樽に由来する色合いが異なり、薄くなってきています。

これはアベラワーに限ったことではありませんが、増加を続けるウイスキー事業者と生産量の中でシェリー樽の調達、確保はどの蒸留所も非常に難しい状況にあり、大手会社であっても四苦八苦しています。
そのため、アベラワーもいつまでシェリー樽メインでリリースを続けるのか。ここまで薄くなってしまったアブナックは、いっそバーボン樽に切り替えた方がいいのではないか。そのような声も、愛好家間で聞こえてくるほどでした。

そんな中で、ふと気がついたらリリースされていたのが、バーボン樽熟成原酒を使ったアブナック“アルバ”です。
アブナックはゲール語で“起源”を意味するとされています。アベラワーのリリースは、古くはシェリー樽熟成のキャラクターを前面に出したものが多く、例えば同じ路線として位置付けられているのが1980年代ごろまで流通していた8年角瓶。ただ、近年はシェリー樽とバーボン樽の熟成で、ダブルカスクマチュレーションをアピールするなど、少し風向きが変わってきていたところ。
これがアベラワーもう一つの起源であると、アブナックからホワイトオークを意味する“アルバ”がリリースされたわけです。

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なお、このように書くと今回のリリースは苦肉の策であるかに聞こえてしまうかもしれませんが、ブラインドテイスティングで飲んで素直におどろかされました。
アメリカンオーク樽由来の市場で評価されているフレーバーが備わって、それでいて酒質は軽すぎず、過度なウッディさも若いフレーバーも目立たない。複数樽バッティングなので、単体ではトゲトゲしさが残る原酒でもあっても、多少丸みを帯びているのでしょう。

ブラインドでイメージしたのはグレングラント15年でしたが、グラントほど軽くないし華やかでもない、この酒質由来の蜂蜜や麦芽の甘みはどうも違う。バルヴェニーの12年シングルバレル?いやしかしあれはもっとドライだし、該当するリリースがない・・・。
いつもはシェリー樽に隠れていた酒質、その素顔。シングルカスクとも違うオフィシャルならではの仕上がりは想像以上に良いものでした。
願わくば、このクオリティがリリースを重ねても継続されていくことを願っています。