ロッホローモンド 12年 2016年リニューアル後 43%
AGED 12 YEARS
SINGLE MALT WHISKY
700ml 43%
グラス:テイスティンググラス
時期:不明
場所:BAR LIVET
評価:★★★★★(5)
香り:オリーブやハーブを思わせる軽い植物感。バニラ、和紙、乾いたウッディネスはオーキーなニュアンスも含む。奥には柑橘を思わせるフルーティーさも。
味:ややスパイシーで干し草を思わせるドライな口当たり。バニラ、柑橘やパイナップルシロップ、ケミカルなフルーティーさが続いてくる。
余韻は軽いピートを伴い、ほろ苦くトーンの高い刺激。張り付くような質感がありスパイシーで長く続く。
やや粗削りな味わいだが、この蒸留所が以前から持っている癖に加え、アイリッシュのような好ましいフルーティーさが感じられる新しい時代のロッホローモンド。スチルの形状の関係か、やや3回蒸留に近いトーンの高さと刺激がある。少量加水すると和らぎマイルドに。香りの開き具合もよい。
2016年頃にリニューアルしたロッホローモンドのオフィシャルボトル。
紙感やハーブ、白い花のような植物系の要素が全開だった旧ボトルのインチマリンや、ダンボールっぽさの強かった旧ロッホローモンド名義のボトルに比べ、ケミカルなフルーティー系の要素を感じやすいのが、近年のロッホローモンド蒸留所の特徴となっています。
ただ、その特徴が出ているのは現行ラインナップでは12年まで。諸々のリリースから逆算して見ると、2002年ないし2003年以降の蒸留に見られる特徴のように感じられます。
それより古い原酒が使われている、例えばオフィシャル18年等は、旧世代の特徴が強く。該当する期間に蒸留所で何があったかについては現在調べていますが、蒸留時期の違いに加え、上位グレードはフルーティーさの出やすいバーボン樽ではなく、シェリー樽の比率が高いことも影響しているのかもしれません。
(ロッホローモンド蒸留所の代名詞であるローモンドスチル。今は無きリトルミル蒸留所から受け継がれるレガシーは、ネック部分にしきりをいれることで、原酒の酒質に変化を与えることが出来るという。その構造は、現在いくつかのクラフトディスティラリーで導入されているハイブリットスチルの元祖でもある。)
さて、今回のテイスティングアイテムであるロッホローモンド12年は、先に触れたように新世代のロッホローモンドが持つアイリッシュ系のケミカルなフルーティーさを個性のひとつに備えているボトルです。
樽構成は、リフィルシェリー、リチャード、バーボンの3種類の樽が主に使われているそうで、フルーティーさはバーボン樽が。それ以外のビターなニュアンスや紙っぽさと干し草のようなウッディさは、リフィルシェリーとリチャードカスクがそれぞれ後押ししているようにも感じます。
個人的には、同じ蒸留所で生産されているインチマリン12年のほうがフルーティーさが分かりやすく好みですが、その基準は個人個々でしょう。どちらにしてもハウススタイルに歓迎すべき変化が起こっているのは間違いありません。
(同じロッホローモンド蒸留所でスチルを調整して生産されている、インチマリン。ロッホローモンド12年に比べると、少々ケミカルなキャラクターは強めだが、合わせてフルーティーさもはっきりとある印象。飲み比べてみるのもオススメ。)
一方、過去の珍味系というか個性的な味わいから、同蒸留所のリリースは名前だけで警戒されることも多くあります。
それは食指が伸びないだけでなく、飲んだときに該当するイメージを探しに行ってしまう人も、少なくないのではないかと。海辺で熟成されてるモルトに、潮の香味を探すのと同じですね。
ですが、キャッチーな要素があるのは事実であり、先日開催された東京ウイスキー&スピリッツコンペティションでは、ブラインドテイスティング審査の結果同12年が金賞区分に入ったという出来事が、それを裏付けているように思います。
恐らくですが、飲んでみたら案外楽しめるモルトで、何かと思ったらロッホローモンドだったと。。。
こういう積み重ねで、将来好きな蒸留所はと聞かれて「ロッホローモンド」と答えても違和感がなくなる時代がくるのでしょうか。
新世代のロッホローモンドの個性が、今後更に開花していくことを楽しみにしています。
コメント
コメント一覧 (3)
コメントありがとうございます。
自分も、ちゃんと飲まずに敬遠していて、あとでこんなにうまかったのかと、あるいは面白いボトルだったのかと驚くこと多々あります。
好みは個性個々なので、自分の好みを軸にした楽しみ方も大切ですよね。フラットな気持ちで、色々な銘柄を深堀り出来るような、そんな楽しみ方を意識していきたいです。
くりりんさんブログで気になってた、インチマリン12年を飲みました。
甘い匂いにつられてストレートで飲むと、アルコールがジュっときました。
一緒に飲んでた人によれば、初心者は無理するな、とのこと。
加水すると、果物&野菜ジュースのような、ちょっとコクのある甘味を感じることができました。
ハイボールは、さらにジュースぽく…度々飲んでいますタリスカーハイボールと全然違い、新鮮でした。
今の自分には、インチマリンの加水の優しい甘味、また、エドラダワーのクリーム感が美味しいです。
エドラダワーもブログきっかけでしたが、ストレートでアルコールの辛さをあまり感じないお酒は、素人には貴重に感じます。
今は、くりりんさんおすすめの、OBボウモア18年が、気になってます。
また、武川酒販売さんのサイトで見かけた、ケイデンヘッドのオーヘントッシャン1992が、24年で41°まで下がっており…度数落ち、なんとなく優しそう…と気になり。
ストレートや少量加水でも飲めるような、まろやかなウィスキーのおすすめはありますでしょうか?
熟成が長い=まろやか、とは限らないみたいですね、難しい…
長文すみませんが、教えてくださるとありがたいです。
また、ブログのアップも楽しみにしております。