2024年12月15日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年9月17日

 アブラモヴィッツ元国務次官補とボズワース前北朝鮮担当特別代表が、The National Interest誌のウェブサイトに7月27日付で掲載された論説で、Pivotとかrebalancing とか言っても、米国の資源は限られているし、地域の同盟国も防衛予算を増やそうともせず、中国が直面する最大の問題は経済問題であり、こちらの方が、まだ二流に過ぎない中国軍事力より重大な問題である、と論じています。

 すなわち、中国の軍事的興隆に対処することと、中国のナショナリズムを刺激して中国の態度を硬化させることとの間のバランスを取ることは容易なことではない。米国は日韓との同盟を中心としているが、この両国がはたして、より大きな役割を引き受けてくれるだろうか。南シナ海では、地域諸国はアメリカの支持を歓迎はしているが、積極的に海上防衛に協力しようとはしていない。

 この地域では、中国との経済関係を危険にさらす覚悟の出来ている国はないし、米国にそうして欲しいと願っている国もない。同時に、米中両国とも経済的結びつきのゆえに現状維持を強く願っている。

 今アジアで最も心配なのは、中国の内政と経済における変化である。それについて米国はどうすることもできないが、中国が衰退することの方が、拡大を続けてはいるがまだ二流の中国軍事力よりも米国にとって憂慮すべきことである。アジアにおいて、米国は、「ゴリラのように胸を叩く」のをやめるべきだ、と論じています。

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 アブラモヴィッツもボズワースも、米国務省との関係が深く、いわゆる国務省的な考え方をする人々ですが、この論説では、予想を超えるような親中国的な態度表明をしています。


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